COVID-19:咽頭スワブと喀痰のウイルス量ピーク
2020年 02月 25日
Lancet Infectious Diseasesからの短報。SARSと比べてCOVID-19のウイルス量ピークはやや早期にあるのですね。
・参考記事:COVID-19:鼻腔・咽頭のウイルス量の推移
・参考記事:COVID-19:患者の半数で便中SARS-CoV-2が陽性
・参考記事:COVID-19:PCR検査は喀痰検体と咽頭検体のどちらがよいか?
・参考記事:COVID-19:便中SARS-CoV-2陽性は鼻咽頭スワブ検体よりも遷延する
Yang Pan, et al.
Viral load of SARS-CoV-2 in clinical samples.
Lancet Infectious Diseases, DOI:https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30113-4
概要:
SARS-CoV-2によるCOVID-19が2019年12月に武漢で発生し、中国やその他の国に広がった。リアルタイムRT-PCRアッセイがSARS-CoV診断に推奨されている。しかしながら、感染者におけるウイルス動態はまだ完全には解明されていない。そこで、われわれは異なる臨床検体を82人の感染患者から採取した結果を報告する。
北京の2人の患者から毎日入院時に連続検体(咽頭スワブ、喀痰、尿、便)を採取した(患者1:発症から3-12日目まで、患者2:発症から4-15日目まで)。咽頭スワブおよび喀痰検体のウイルス量は発症から5-6日目がピークで、10⁴~10⁷コピー/mLだった。これはSARSのパターンとは異なるものである。SARSは発症から10日目あたりがピークだった。喀痰検体は一般的に咽頭スワブよりもウイルス量が多かった。これら2人の患者に関しては尿や便からRNAは検出されなかった。
(ウイルス量:文献より引用)
われわれは、呼吸器検体(鼻腔1人、咽頭スワブ67人、喀痰42人)を80人の患者から異なる病期で採取した。ウイルス量は641コピー/mLから1.34×10¹¹コピー/mLまでの範囲で、咽頭スワブの中央値は7.99×10⁴コピー/mL、喀痰検体の中央値は7.52×10⁵コピー/mLだった。唯一鼻腔スワブから検体をとられた患者のウイルス量は1.69×10⁵コピー/mLだった。全体として、発症早期のウイルス量は多かった(>1×10⁶コピー/mL)。しかしながら、発症8日目に死亡した患者の喀痰検体はウイルス量が多かった(1.34×10¹¹コピー/mL)。特筆すべきこととして、濃厚接触歴があるため監視されていた2人は、発症前にRT-PCRが陽性となっていたが、症状が発現する前に感染性があることが示唆された。
30の咽頭スワブと喀痰のペア検体において、ウイルス量は2検体の間で相関がみられた(1–3日目 (R²=0.50, p=0.022), 4–7日目(R²=0.93, p<0.001), 7–14日目(R²=0.95, p=0.028)。 (咽頭スワブと喀痰の相関)
データ利用が可能だったSARS-CoV-2感染患者17人(発症から0-13日目)のうち、便検体が9人(53%:発症から0-11日目)で陽性だった。ウイルス量は呼吸器検体より少なかったが(550コピー数/mL~1.21×10⁵コピー数/mL)、便検体を扱う際には注意すべきと考えられる。
・参考記事:COVID-19:鼻腔・咽頭のウイルス量の推移
・参考記事:COVID-19:患者の半数で便中SARS-CoV-2が陽性
・参考記事:COVID-19:PCR検査は喀痰検体と咽頭検体のどちらがよいか?
・参考記事:COVID-19:便中SARS-CoV-2陽性は鼻咽頭スワブ検体よりも遷延する
Yang Pan, et al.
Viral load of SARS-CoV-2 in clinical samples.
Lancet Infectious Diseases, DOI:https://doi.org/10.1016/S1473-3099(20)30113-4
概要:
SARS-CoV-2によるCOVID-19が2019年12月に武漢で発生し、中国やその他の国に広がった。リアルタイムRT-PCRアッセイがSARS-CoV診断に推奨されている。しかしながら、感染者におけるウイルス動態はまだ完全には解明されていない。そこで、われわれは異なる臨床検体を82人の感染患者から採取した結果を報告する。
北京の2人の患者から毎日入院時に連続検体(咽頭スワブ、喀痰、尿、便)を採取した(患者1:発症から3-12日目まで、患者2:発症から4-15日目まで)。咽頭スワブおよび喀痰検体のウイルス量は発症から5-6日目がピークで、10⁴~10⁷コピー/mLだった。これはSARSのパターンとは異なるものである。SARSは発症から10日目あたりがピークだった。喀痰検体は一般的に咽頭スワブよりもウイルス量が多かった。これら2人の患者に関しては尿や便からRNAは検出されなかった。
(ウイルス量:文献より引用)
われわれは、呼吸器検体(鼻腔1人、咽頭スワブ67人、喀痰42人)を80人の患者から異なる病期で採取した。ウイルス量は641コピー/mLから1.34×10¹¹コピー/mLまでの範囲で、咽頭スワブの中央値は7.99×10⁴コピー/mL、喀痰検体の中央値は7.52×10⁵コピー/mLだった。唯一鼻腔スワブから検体をとられた患者のウイルス量は1.69×10⁵コピー/mLだった。全体として、発症早期のウイルス量は多かった(>1×10⁶コピー/mL)。しかしながら、発症8日目に死亡した患者の喀痰検体はウイルス量が多かった(1.34×10¹¹コピー/mL)。特筆すべきこととして、濃厚接触歴があるため監視されていた2人は、発症前にRT-PCRが陽性となっていたが、症状が発現する前に感染性があることが示唆された。
30の咽頭スワブと喀痰のペア検体において、ウイルス量は2検体の間で相関がみられた(1–3日目 (R²=0.50, p=0.022), 4–7日目(R²=0.93, p<0.001), 7–14日目(R²=0.95, p=0.028)。
データ利用が可能だったSARS-CoV-2感染患者17人(発症から0-13日目)のうち、便検体が9人(53%:発症から0-11日目)で陽性だった。ウイルス量は呼吸器検体より少なかったが(550コピー数/mL~1.21×10⁵コピー数/mL)、便検体を扱う際には注意すべきと考えられる。
by otowelt
| 2020-02-25 23:26
| 感染症全般