COVID-19:武漢産科病棟における妊婦・新生児のSARS-CoV-2検査

COVID-19:武漢産科病棟における妊婦・新生児のSARS-CoV-2検査_e0156318_1013880.png プレプリントのFigureには胸部CTが供覧されていますが、結構シビアな肺炎でびっくりしました。武漢の産科病棟は大変だったろうと思います。
 同様の報告が、武漢大学中南病院からLancetに投稿されましたね。

Weiyong Liu, et al.
Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) During Pregnancy: A Case Series.
Preprints 2020, 2020020373


背景:
 COVID-19は新しいウイルス感染症であり、妊婦の感染リスク増加については不明である。ウイルス性肺炎は、母体死亡の重要な間接的原因である。SARS-CoV-2が妊娠中に与える影響はほとんど分かっていない。

目的:
 妊娠中、または出生児のCOVID-19の臨床的特徴を記述する。また、母児に垂直感染しるうのかどうかも記述をこころみた。

デザイン:
 中国武漢にある、華中科技大学付属同済病院の産科病棟において2020年2月2日~2月5日に17人に妊娠後期妊婦が入院したが、そのうち3人がCOVID-19に感染していた。
 患者背景、臨床データ、検査データ、放射線学的プロファイルを収集した。SARS-CoV-2の検査は口腔咽頭スワブ、胎盤、膣分泌物、母乳で実施した。また新生児からは、口腔咽頭スワブ、臍帯血、血清から検体を採取した。

結果:
 このケースシリーズは、これまでに最も徹底的にウイルス学的評価を実施している。入院中の母子の2者において長い臨床的な観察を含めている。妊娠後期にSARS-CoV-2に感染した3人の妊婦の臨床経過とアウトカムを記述した。3人のうち2人は妊娠後期に帝王切開を受けた。全患者の周産期経過は順調だった。垂直感染または出産中に感染した新生児はいなかった。

結論:
 本ケースシリーズによると、子宮内の垂直感染リスクを支持するエビデンスはない。妊婦と新生児の双方において、周産期アウトカムには影響がなかった。




by otowelt | 2020-02-26 20:13 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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