COVID-19:北京における46例の臨床的検討

COVID-19:北京における46例の臨床的検討_e0156318_1013880.png 地域ごとにまとめた報告が出てきていますが、やはり武漢が突出してシビアな印象ですね。

・参考記事:COVID-19:浙江省における62例の臨床的特徴

Wen Ke, et al.
Epidemiological and clinical characteristics of 46 newly-admitted coronavirus disease 2019 cases in Beijing.
Chin J Infect Dis, 2020,38:Epub ahead of print.


目的:
 北京におけるCOVID-19の疫学的・臨床的特徴を調べ、解析すること。

方法:
 中国北京にある中国人民解放軍総医院第五医学中心において2020年1月20日から2月8日までCOVID-19患者46人を登録し解析した後ろ向き研究である。臨床症状、検査データ、画像データの特徴が解析された。

結果:
 登録された46人のうち、27人が男性、19人が女性だった。年齢は3-79歳で、平均年齢は41.8±16.3歳だった。平均潜伏期間は4.85±3.00日だった。合計26人(56.5%)がクラスター患者で、12人(26.1%)が軽症例、23人(50.0%)が典型例、11人(23.9%)が重症例だった。発熱(39.8%)、咳嗽(27.6%)、倦怠感(25.3%)が主症状だった。12人に白血球減少がみられ、4人はTリンパ球数が減少し、17人がCD4陽性T細胞数が減少し、7人がCD8陽性T細胞数が減少していた。21人(45.7%)はCRPが高値で、32人(69.6%)はIL-6が高値だった。赤沈は20人(50%)で亢進し、血清フェリチンは26人(56.5%)で上昇していた。9人でLDHが上昇していた。軽症例、典型例、重症例の間では、Tリンパ球、CD8陽性T細胞数の減少がみられた患者数に有意差があった(P<0.05)。この3群でCRP、IL-6、赤沈、血清フェリチン、LDHを比較すると、これも有意であった(P<0.05)。CRP上昇がみられた患者数は重症例で有意に多かった。IL-6、赤沈、血清フェリチン、LDHについても同様だった。

結論:
 北京におけるCOVID-19の疫学的特徴として、主に武漢からの輸入症例とクラスター症例であったことが挙げられる。臨床症状は発熱、倦怠感、咳嗽だった。CRP、IL-6、赤沈、血清フェリチン、LDHは重傷の患者でより高値だった。





by otowelt | 2020-02-27 02:13 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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