COVID-19:北京における262例の臨床的検討

COVID-19:北京における262例の臨床的検討_e0156318_21331837.png 別のジャーナルで北京についてはまとめられていますが、こちらのほうが症例が多いですね。

・参考記事:COVID-19:北京における46例の臨床的検討

Tian S, et al.
Characteristics of COVID-19 infection in Beijing.
J Infect. 2020 Feb 26. pii: S0163-4453(20)30101-8. doi: 10.1016/j.jinf.2020.02.018.


背景:
 中国武漢でCOVID-19の最初の患者が同定され、北京でも複数の患者が報告されるようになった。われわれは、北京における262人の臨床的・疫学的特徴を解析した。

方法:
 北京救急医療サービスによって指定病院に搬送された患者を登録した。患者背景、疫学的データ、臨床的データ、検査データが収集され、さらに診断分類、クラスター症例、アウトカムについても調べた。また、重症例と、典型例(軽症例・肺炎がない症例・無症候例)との間の特徴を比較した。また、2003年のSARSと今回のCOVID-19の特徴を比較した。

結果:
 2020年2月10日までに、262人の患者が北京の指定病院に搬送された。262人のうち、46人(17.6%)が重症で、216人(82.4%)が典型例で、192人(73.3%)が軽症例で、11人(4.2%)が肺炎のない症例、13人(5.0%)が無症候例だった。
 年齢中央値は47.5歳で、48.5%が男性だった。8人(3.1%)は12歳未満の小児で、48人(18.3%)は65歳超だった。
 192人(73.3%)が北京在住で、50人(26.0%)が武漢渡航歴があり、116人(60.4%)が確定例との濃厚接触歴があり、21人(10.9%)には接触歴がなかった。
 よくみられた症状は、発熱(82.1%)、咳嗽(45.8%)、倦怠感(26.3%)、呼吸困難(6.9%)、頭痛(6.5%)だった。潜伏期中央期間は6.7日で、発症から受診までの中央期間は4.5日だった。2月10日時点で、17.2%が退院し、81.7%が入院していた。北京におけるCOVID-19の致死率は0.9%だった。解析時点ではSARSとの有意差はなかった。

結論:
 北京における重症例から軽症例・無症候例・非肺炎例までのCOVID-19の情報を提示した。致死率は比較的低かった。次のステップは、北京の家族や地域社会での濃厚接触を回避するための隔離・検疫について焦点を当てることである。




by otowelt | 2020-03-01 21:33 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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