COVID-19:シクレソニド吸入が有効である可能性

COVID-19:シクレソニド吸入が有効である可能性_e0156318_21331837.png 個人的にお気に入りのICSである、オルベスコ®が注目を浴びるか!?

岩渕敬介ら.
COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3例.
日本感染症学会、症例報告.


症例:
73歳女性:シクレソニド開始後2日程度で、37.5℃以上の発熱が軽快し、酸素化も改善し room air で SpO2 95%以上を維持できるようになった。
78歳男性:来院時より水様便が持続し、食事もほとんど摂れない状態であったが、シクレソニド開始後、食欲が徐々に改善し、下痢も回復し普通便となった。酸素中止が可能となり、倦怠感も改善した。室内で日課のスクワットをする程度まで回復した。
67歳女性:シクレソニド投与のみにて経過観察したところ、酸素化が改善した。食欲も改善、全量摂取可能となり、全身倦怠感も急速に改善した。

薬理:
シクレソニドの持つ抗ウイルス作用と抗炎症作用が重症化しつつある肺傷害の治療に有効であることが期待されている。シクレソニド以外の吸入ステロイドには、COVID-19の抗ウイルス作用は現時点では認められない。

用法用量:
in vitro ではシクレソニドはロピナビルと同等あるいはそれ以上のウイルス増殖防止効果を示しており、さらに同研究では同一濃度で効果を比較しているが、シクレソニドのエアロゾルが肺胞に到達した場合の組織濃度はその数十倍と考えられている。

森島教授の見解では①ウイルスの増幅時間(6-8hr)から頻回投与かつ肺胞に充分量を到達させるため高用量投与を推奨する。②残存ウイルスの再活性化および耐性ウイルスの出現を避けるため、開始後は 14 日程度以上継続するのが望ましい。③ウイルスは肺胞上皮細胞で増殖しているため、吸入はできるだけ深く行うことが効果を高めると考えられる。

① シクレソニド(オルベスコ®)200µg インヘラー 56吸入 1 日 2 回 1 回 2 吸入 →14 日分
② シクレソニド(オルベスコ®)200µg インヘラー 56吸入 1 日 3 回 1 回 2 吸入 →約 9 日分
①を基本とし、重症例、効果不十分例に対し②を検討。そして感染局所への薬剤の到達を考慮し、「深く吸入する」、という用量用法が、現状最もreasonable な投与方法であると考える。

シクレソニドはプロドラッグの吸入薬で肺の表面にとどまり、血中濃度増加はごく微量である。投与時期は重症化する前の、感染早期〜中期あるいは肺炎初期が望ましく、ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待される。




by otowelt | 2020-03-02 21:01 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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