COVID-19:肺炎が進行するリスク因子
2020年 03月 03日

Liu W, et al.
Analysis of factors associated with disease outcomes in hospitalized patients with 2019 novel coronavirus disease.
Chin Med J (Engl). 2020 Feb 28. doi: 10.1097/CM9.0000000000000775.
背景:
2019年12月に中国湖北省武漢でCOVID-19の肺炎が発生した。この研究では、COVID-19患者が肺炎に進展する上で影響を与える因子について調べた。関連結果を吟味して、予後を評価し、COVID-19の肺炎の最適な治療レジメンを同定したい。
方法:
この研究には、COVID-19が陽性となった患者が登録された。患者は2019年12月30日~2020年1月15日まで、武漢にある3つの三次病院に入院した。個々のデータ、検査データ、画像データ、臨床データが収集され、統計解析された。患者は進行群・改善/安定化群に分類された。ロジスティック回帰分析により、疾患進行のリスク因子を調べた。
結果:
78人のCOVID-19による肺炎患者が登録された。入院後2週間時点での評価では11人(14.1%)が悪化し、67人(85.9%)が改善/安定していた。進行群の患者は、改善/安定群の患者と比較して有意に高齢だった(中央値66歳[IQR 51-70歳] vs 37歳[IQR32-41歳]、p=0.001)。進行群の患者は、有意に喫煙歴が多かった(27.3% vs 3.0%、p=0.018)。78人でよくみられた症状は発熱で、最高体温は進行群のほうが高かった(中央値38.2℃[IQR 37.8-38.6℃] vs 37.5℃[IQR37.0-38.4℃]、p=0.027)。さらに、呼吸不全に陥った患者の頻度(54.5% vs. 20.9%, P = 0.028)や呼吸数(中央値34 [IQR18-48] vs. 24 [IQR16-60], p = 0.004)についても進行群のほうが多かった。CRPは進行群のほうが高かった(中央値3.89mg/dL [IQR14.3-64.8] vs. 1.06mg/dL[IQR1.9-33.1] , P = 0.024)。アルブミンは進行群のほうが有意に低かった(36.62 ± 6.60 vs. 41.27 ± 4.55 g/L, P = 0.006)。進行群の患者は人工呼吸器などの呼吸補助をより受けやすかった(p=0.001)。
多変量ロジスティック分析によると、年齢(オッズ比8.546、95%信頼区間1.628-44.864、p=0.011)、喫煙歴(オッズ比14.285、95%信頼区間1.577-25.000、p=0.018)、入院時の最高体温(オッズ比8.999、95%信頼区間1.036-78.147, p=0.046)、呼吸不全(オッズ比8.722、95%信頼区間1.942-40.000、p=0.016)、低アルブミン血症(オッズ比7.353、95%信頼区間1.098-50.000,p=0.003)、CRP高値(オッズ比10.530、95%信頼区間1.224-34.701、p=0.028)は疾患進行のリスク因子であった。
結論:
年齢、喫煙歴、入院時最高体温、呼吸不全、血清アルブミン、CRPといったCOVID-19の肺炎の進行にいたるいくつかの因子が同定された。
by otowelt
| 2020-03-03 22:09
| 感染症全般