COVID-19：シンガポールにおける18例の臨床的検討

　各患者さんの経過がとても見やすいです。論文の図も大事！

Barnaby Edward Young, et al.
Epidemiologic Features and Clinical Course of Patients Infected With SARS-CoV-2 in Singapore.
JAMA. Published online March 3, 2020. doi:10.1001/jama.2020.3204

背景：
　2019年12月にSARS-CoV-2による感染症が中国湖北省武漢で発生し、その後ヒトヒト感染により中国外へ広がった。

目的：
　シンガポールの初期症例を含む、アウトブレイクの臨床的特徴とマネジメントの疫学的調査を報告すること。

デザイン、患者：
　2020年1月23日から2月3日のあいだに、4施設でSARS-CoV-2であるとPCRで診断された18人のケースシリーズの記述。

曝露：
　SARS-CoV-2感染の確定。

主要アウトカム：
　鼻咽頭スワブによるPCR Ct 値を含む臨床データ、検査データ、画像データが収集され、血液、尿、便からのウイルス排出をみた。酸素療法や集中治療の必要性、ロピナビル/リトナビルの使用を含めた臨床経過が総括された。

結果：
　18人のPCR確定SARS-CoV-2患者（年齢中央値47歳、9人[50％]が女性）において、上気道の臨床所見があったのは12人（67％）だった。発熱が13人（72％）、咳嗽が15人（83％）、咽頭痛が11人（61％）にみられた。7日以上鼻咽頭のウイルス排出があったのは15人（83％）だった。6人（33％）は酸素療法を要した。このうち、2人がICUに入室した。死亡例はなかった。
　ウイルスは便中（8人中4人[50％]）、血液（12人中1人[8%]）にPCRで存在が確認されたが、尿中は全例陰性だった。
　5人の酸素療法を要した患者はロピナビル/リトナビルで治療された。そのうち3人は、3日以内に発熱と酸素療法が軽快した。しかし、2人は呼吸不全に進行した。5人中4人がロピナビル/リトナビルによる悪心、嘔吐、下痢がみられ、3人は肝機能障害がみられた。

結論：
　シンガポールにおけるSARS-CoV-2感染があると診断された初期18人において、軽度の気道症状がよくみられた。一部の患者は酸素療法を要し、抗ウイルス治療による臨床アウトカムにはばらつきがあった。

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