COVID-19:医療スタッフ感染例41例の臨床的検討

COVID-19:医療スタッフ感染例41例の臨床的検討_e0156318_21331837.png 医療従事者にとって、貴重なデータですね。軽症例が多いようです。

参考記事:COVID-19:医療従事者30例の臨床的特徴

Ru Liu, et al.
Association of Cardiovascular Manifestations with In-hospital Outcomes in Patients with COVID-19: A Hospital Staff Data
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.29.20029348


背景:
 SARS-CoV-2によるCOVID-19のアウトブレイクは、公衆衛生学的にゆゆしき問題である。院内感染に関する臨床データおよび、COVID-19の重症転化のリスク因子は不足している。

目的:
 この研究では、病院スタッフのデータを分析し、院内感染の観点からCOVID-19の一般的な臨床的特徴を把握し、COVID-19症例の院内アウトカムと心血管系症状(CVM)の関連を調べた。

■CVM:以下のどれか1つでも満たすもの。
①動悸や胸部不快感がある
②CK-MBあるいは高感度トロポニンIの上昇
③洞性頻脈を含め、新たな心電図異常


方法:
 2020年1月15日から1月24日まで、中国武漢の武漢中央病院で、自施設のCOVID-19確定医療スタッフ41人のケースシリーズが集められた。臨床データ、検査データ、放射線学的データ、治療データ、院内有害事象が収集・分析された。追跡最終日は2020年2月23日だった。また、CVMがある例とない例を比較した。

結果:
 41人のCOVID-19感染医療スタッフのうち、臨床医および臨床ナースが80.5%にのぼった。患者との接触で院内感染したものが87.8%にのぼった。平均年齢は39.1歳で、一般集団よりも基礎疾患を有する頻度は低かった。
 COVID-19症例のよくみられた症状は、発熱82.9%、筋肉痛・倦怠感80.5%、咳嗽63.4%だった。初期症状に限ると、倦怠感80.5%、発熱73.2%、咳嗽41.5%だった。中国の公式な基準によると、重症ではない軽症例は95.1%でした。2人(4.9%)が呼吸不全あるいはARDSに陥った。CVMがある患者数は、CVMがない患者数より多かった(58.5% vs 41.5%)。CVMがある患者は、CVMがない患者よりもベースラインのリンパ球数が少なく、1回目の咽頭スワブでPCRが陽性になる頻度が高く(50.0% vs 11.8%、p=0.011)、酸素療法を受ける頻度が高かった(79.2% vs 23.5%、p<0.001)。院内の有害イベントは、CVMがある群で高かった(75.0% vs 23.5%、p=0.001)。
 多変量ロジスティック回帰モデルでは、COVID-19患者にCVMが合併していても、院内有害イベントと独立して関連していなかった。

結論:
 ほとんどのCOVID-19の医療スタッフは院内感染で発症しており、非重症例がほとんどだった。CVMがある例では、院内有害イベントがCVMがない例よりも多かった。しかし、CVMがあっても、独立して院内有害イベントと関連しているわけではなかった。




by otowelt | 2020-03-04 21:47 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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