COVID-19:ドイツにおける無症候例からの伝播

COVID-19:ドイツにおける無症候例からの伝播_e0156318_21331837.png 無症候例についてはいくつか報告がありますね。

・参考記事:COVID-19:家族内クラスターから考察した無症候性キャリアからのSARS-CoV-2伝播
・参考記事:COVID-19:無症候性キャリア24例の臨床経過

Camilla Rothe, et al.
Transmission of 2019-nCoV Infection from an Asymptomatic Contact in Germany
N Engl J Med 2020; 382:970-971, DOI: 10.1056/NEJMc2001468


概要:
 SARS-CoV-2は世界中に拡散しており、医学界で懸念を惹起している。2019年12月下旬にウイルスが特定されてから、中国から他の国々へ飛び火しており、疫学的状況は日々変化している。ここでは、患者の潜伏期間に感染がみられたクラスターを紹介する。
 33歳の健康なドイツ人ビジネスマン(患者1)は、2020年1月24日に咽頭痛、悪寒、筋肉痛で受診した。翌日、39.1℃の発熱、湿性咳嗽を訴えた。翌日の夕方までに、比較的軽快したため、1月27日に仕事に戻った。なお、彼は症状発現前に1月20日~21日にミュンヘン近くの会社で中国人ビジネスパートナーとの会議に出席していた。上海在住の中国人女性(インデックス患者)は、1月19日~22日にドイツを訪れた。彼女の滞在中、彼女は感染徴候も症状もなかったが、中国への帰国便のさなか発症し、1月26日にPCR陽性となった。1月27日に、彼女は会社に病気について通知した。
 その後、接触者追跡が開始され、患者1は評価のためにミュンヘンの感染症・熱帯医学部門に搬送された。2回の鼻咽頭スワブと1階の喀痰検体が得られ、RT-PCRでSARS-CoV-2が陽性と判明した。
1月28日に患者1の同僚である患者2-4がPCR陽性となった。これらの患者のうち、患者2のみがインデックス患者と接触していた。他の2人の患者は患者1のみと接触していた。
 全患者(患者1-4)は、臨床モニタリングと隔離のためにミュンヘン感染症ユニットに入院した。確認された4人の患者はいずれも重篤な臨床疾患の徴候を示していなかった。このクラスターは、短時間で非特異的であった初発患者の潜伏期間中に感染が伝播したように見える。
COVID-19:ドイツにおける無症候例からの伝播_e0156318_20434473.png
(文献より引用)




by otowelt | 2020-03-05 20:48 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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