COVID-19:胸部CTの誤診は少ない

COVID-19:胸部CTの誤診は少ない_e0156318_230117.png ウイルスごとの違いがないだけでなく、個人的にはEPやOPとの違いはなかなか指摘できないと思います。

Li Y, et al.
Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): Role of Chest CT in Diagnosis and Management.
AJR Am J Roentgenol. 2020 Mar 4:1-7.


目的:
 この研究の目的は、COVID-19の放射線科医の誤診率を同定し、診断とマネジメントにおける胸部CTのパフォーマンスを評価することである。 COVID-19のCTの特徴を報告し、他のウイルスのCTの特徴と比較した。

方法:
 この研究には、51人のCOVID-19確定患者(PCR陽性例)(23人が女性、28人が男性、年齢は26-83歳)と2人のアデノウイルス患者(1人が女性、1人が男性、年齢は58歳と66歳)が登録された。これら53人の臨床情報を比較した。初期撮影と追跡撮影も含めると、胸部CT画像は99撮影だった。

結果:
 初期CTにおいて、基礎疾患のある2人のCOVID-19患者はよくある感染症と誤診されていた。残りのCOVID-19患者49人およびアデノウイルス患者2人ではウイルス性肺炎が正しく同定できていた。
 GGOおよび浸潤影が主体で、一部に血管拡張、小葉間隔壁肥厚を伴っており、air bronchogram signはよく観察された。"reversed halo" signおよびhalo signを伴う結節影はあまり観察されなかった。COVID-19患者の胸部CT所見は、アデノウイルスのそれと所見が重複していた。
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(CT所見:文献より引用)

結論:
 COVID-19において胸部CTでウイルス性肺炎を誤診する頻度は低かった(2.9%)。患者のマネジメントを最適化するために、初期に撮影することは有用かもしれない。しかしながら、ウイルスごとの違いを同定するにはいたらない。




by otowelt | 2020-03-05 23:06 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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