COVID-19:42例の胸部CT所見の推移

COVID-19:42例の胸部CT所見の推移_e0156318_230117.png 陰影の変化というテーマでは、Pan先生が「回復例で重症度が一番高くなるのは10日目」という論文を出していますね。

参考記事:COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見
参考記事:COVID-19:94例の胸部CT所見の推移
参考記事:COVID-19:81例の胸部CT所見の推移
参考記事:COVID-19:50例の胸部CT所見の推移

Xiong Y, et al.
Clinical and High-Resolution CT Features of the COVID-19 Infection: Comparison of the Initial and Follow-up Changes.
Invest Radiol. 2020 Mar 3. doi: 10.1097/RLI.0000000000000674.


目的:
 2019年12月末に中国武漢でアウトブレイクしたCOVID-19は、SARS-CoV-2と命名された新型コロナウイルスによる感染症である。われわれは、胸部HRCTにおける重症度を定量化し、臨床パラメータとの関連を調べた。

方法:
 2020年1月11日から2020年2月5日までに、武漢同済医院でCOVID-19と診断された42人の臨床データおよび胸部HRCT所見を収集した(26-75歳、25人が男性)。全患者は武漢の住民だった。発症から平均4.5日で初回、11.6日で追跡の胸部CTが撮影され、重症度や肺炎の進展を後ろ向きにアセスメントした。臨床パラメータとの相関、初期CTの特徴と進展した画像の特徴が評価・解析された。

結果:
 よくみられた症状は発熱86%、咳嗽64%、倦怠感33%だった。下痢は24%、呼吸困難は19%にみられた。白血球が正常だったのは70%だった。CRP上昇が84%、赤沈亢進が46%、LDH上昇が58%にみられた。
 35人(83%)が発症早期のあいだに肺炎に進展していた。追跡のCTでは進行性の陰影、浸潤影、間質性肥厚、線維性索状影、air bronchogrramが有意に多くみられた(p<0.05)。発症からの日数と陰影の合計スコアの間には、中程度の相関があった(R=0.68, p<0.01)。CRP、赤沈、LDHは初期CTの肺炎重症度と有意に挿管していた(R0.36-0.75, p<0.05)。最高体温と初期CTの陰影重症度は、追跡CTにおける陰影の進行と有意に関連していた(p=0.001-0.04)。
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(陰影の面積とdensity:文献より引用)
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(LDH:文献より引用)

結論:
 COVID-19患者は通常典型的なGGOやその他CT特徴を有するが、いくつかの臨床・検査パラメータと有意な相関がみられた。追跡CTで、しばしば発症早期のあいだに進行性の陰影が観察された。





by otowelt | 2020-03-07 08:42 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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