出生早期の抗菌薬曝露は喘息リスクの上昇と関連
2020年 04月 06日

Slob EMA, et al.
Early-life antibiotic use and risk of asthma and eczema: results of a discordant twin study.
Eur Respir J. 2020 Mar 5. pii: 1902021. doi: 10.1183/13993003.02021-2019.
背景:
出生早期の抗菌薬使用はアトピー疾患の発展に関連しているが、その疫学は不透明である。これを解明するため、われわれはdiscordant twinデザインを使用して、遺伝的および環境的交絡を制御した。
discordant twin: 1絨毛膜性,2絨毛膜性双胎にかかわらず両児の推定児体重差〔discordant rate :(大きい児の体重-小さい児の体重)÷大きい児の体重×100〕が一定以上のものがdiscordant twin。
方法:
われわれはオランダ双子レジストリ(NTR:34352人)から3-10歳の双子を登録した後ろ向きコホート試験、9歳時点のスウェーデンの複製試験(CATSS:7906人)をおこなった。抗菌薬使用は0-2歳時のものが記録された。医師から診断された喘息および湿疹は、両親によって3-12歳のときに報告された。
結果:
早期の抗菌薬曝露は、喘息リスクの上昇(NTRオッズ比1.34 95%信頼区間1.28-1.41; CATSSオッズ比1.45 95%信頼区間1.34-1.56)、湿疹リスクの上昇(NTRオッズ比1.08 95%信頼区間1.03-1.13; CATSSオッズ比 1.07 95%信頼区間1.01-1.14) と関連していた(アンマッチ解析)。一卵性および二卵性の双生児比較解析では、喘息については同等だったが(NTRオッズ比1.54 95%信頼区間 1.20-1.98、CATSSオッズ比2.00 95%信頼区間1.28-3.13)、湿疹については両コホートで相反する結果だった(NTRオッズ比0.99 95%信頼区間0.80-1.25、CATSSオッズ比1.67 95%信頼区間1.12-2.49)。喘息リスクは、呼吸器感染症に対して抗菌薬を用いた場合リスクが高かったが(CATSSオッズ比1.45 95%信頼区間1.34-1.56)、尿路/皮膚感染症に用いた場合には有意ではなかった(CATSS オッズ比1.02 95%信頼区間0.88-1.17)。
結論:
出生早期に、特に呼吸器感染症に対して抗菌薬に曝露されることで、喘息のリスクが高くなるかもしれない。この結果では、早期の抗菌薬使用と湿疹の関係が家族的および遺伝的要因によって交絡されているかどうかは解明できなかった。
by otowelt
| 2020-04-06 00:07
| 気管支喘息・COPD