抗EJ抗体陽性の間質性肺疾患の特徴

抗EJ抗体陽性の間質性肺疾患の特徴_e0156318_22495831.png 抗EJ抗体のILDに関する報告です。

Liu Y, et al.
Clinical characteristics of patients with anti-EJ antisynthetase syndrome associated interstitial lung disease and literature review.
Respir Med. 2020 Mar 3;165:105920. doi: 10.1016/j.rmed.2020.105920.


目的:
 間質性肺疾患(ILD)は、抗ARS抗体症候群(ASS)の筋肉外症状である。この研究の目的は、大規模患者コホートにおける抗EJ抗体関連ILDの臨床的特徴を解析することである。

方法:
 抗EJ抗体関連ILD患者の後ろ向きコホート研究である。臨床的特徴、検査的特徴、肺機能検査、検査パラメータ、胸部HRCT、治療についての情報が診療録から抽出された。

結果:
 51人が同定された。診断時の平均年齢は55.6歳だった。51人のうち32人が女性だった。Ro52に対する抗体を合併していたのが92.2%だった。胸部HRCTでは、NSIPパターンがよくみられた。筋炎優位のサブセットは、41.2%が筋無症候性皮膚筋炎 (ADM) で、皮膚筋炎、多発性筋炎と続いた。34人が全身性ステロイド単剤あるいは免疫抑制剤との併用で軽快し、10人が安定化した。しかしながら、7人(21.6%)は12.0±4.4ヶ月の間軽快していたものの、ステロイド治療(平均プレドニゾロン用量11.6±3.5mg)にもかかわらず急速に進行した。再発群は、NSIPパターンの患者群に有意に多くみられた(p < 0.05)。文献レビューでは、抗EJ抗体ASSの最も一般的な症状はILD(89.3%)および筋炎(58.9%)だった。

結論:
 抗EJ抗体ASSではILDはよくみられる。抗EJ抗体患者のILDは、下葉優位のNSIPパターンが多かった。全身性ステロイドと免疫抑制剤の初期併用治療によく反応したが、再発が頻繁にみられた。NSIPパターンは、再発群に多くみられた。


by otowelt | 2020-05-25 00:35 | びまん性肺疾患

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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