COVID-19:ロピナビル/リトナビルの有効性
2020年 03月 20日
中国の後ろ向きコホート研究でも効果がないと報告されていましたね。
・参考記事:COVID-19:ロピナビル/リトナビル、ウミフェノビルに症状軽減・ウイルス陰性化の効果みられず
Bin Cao, et al.
A Trial of Lopinavir–Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19
NEJM March 18, 2020,DOI: 10.1056/NEJMoa2001282
背景:
SARS-CoV-2による重症疾患の治療に効果的な治療選択肢はいまだに確立されていない。
方法:
われわれは、ランダム化比較オープンラベル試験において、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染がある確認された入院成人患者(動脈血酸素飽和度94%以下あるいはP/F比300mmHg未満)を登録した。患者はランダムに1:1の割合でロピナビル-リトナビル(400mg-100mg)1日2回14日間+通常ケアあるいは通常ケア単独に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、臨床的改善までの期間(ランダム化から、0-7点尺度2ポイントの改善または退院のいずれか早い方までの期間と定義:0点が軽症で7点が死亡)とした。妊婦は除外された。
結果:
SARS-CoV-2と確定された合計199人の患者がランダム化された。99人がロピナビル-リトナビル群、100人が通常ケア群に割り付けられた。年齢中央値は58歳だった(IQR 49-68歳)。60.3%が男性だった。
ロピナビル-リトナビルの治療は、通常ケアと比較して臨床的改善までの期間の改善に寄与しなかった(ハザード比1.24、95%信頼区間0.90~1.72)。28日死亡率は、両群同等だった(19.2% vs. 25.0%; 差−5.8%; 95%信頼区間−17.3 ~5.7)。ロピナビル-リトナビル群の患者はICU入室期間が短かった(中央値6日 vs 11日、差5日、95%信頼区間-9~0日)。ランダム化から退院までの期間も短かった(中央値12日 vs 14日、差1日、95%信頼区間0~3日)。複数の時点において、ウイルスRNAが同定された頻度も同等だった。修正ITT解析では、ロピナビル-リトナビルは臨床的改善を通常ケアよりも中央値で1日早く改善させた(ハザード比1.39、95%信頼区間1.00~1.91)。
消化器系の副作用イベントはロピナビル-リトナビル群で多くみられたが、重篤な副作用イベントは通常ケア群のほうが多かった。副作用イベントのためロピナビル-リトナビル治療が13人(13.8%)で早期中止された。 (累積改善率:文献より引用)
結論:
COVID-19で入院した成人患者において、ロピナビル-リトナビルは通常群より医学的利益が観察されるわけではなかった。
・参考記事:COVID-19:ロピナビル/リトナビル、ウミフェノビルに症状軽減・ウイルス陰性化の効果みられず
Bin Cao, et al.
A Trial of Lopinavir–Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19
NEJM March 18, 2020,DOI: 10.1056/NEJMoa2001282
背景:
SARS-CoV-2による重症疾患の治療に効果的な治療選択肢はいまだに確立されていない。
方法:
われわれは、ランダム化比較オープンラベル試験において、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染がある確認された入院成人患者(動脈血酸素飽和度94%以下あるいはP/F比300mmHg未満)を登録した。患者はランダムに1:1の割合でロピナビル-リトナビル(400mg-100mg)1日2回14日間+通常ケアあるいは通常ケア単独に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、臨床的改善までの期間(ランダム化から、0-7点尺度2ポイントの改善または退院のいずれか早い方までの期間と定義:0点が軽症で7点が死亡)とした。妊婦は除外された。
結果:
SARS-CoV-2と確定された合計199人の患者がランダム化された。99人がロピナビル-リトナビル群、100人が通常ケア群に割り付けられた。年齢中央値は58歳だった(IQR 49-68歳)。60.3%が男性だった。
ロピナビル-リトナビルの治療は、通常ケアと比較して臨床的改善までの期間の改善に寄与しなかった(ハザード比1.24、95%信頼区間0.90~1.72)。28日死亡率は、両群同等だった(19.2% vs. 25.0%; 差−5.8%; 95%信頼区間−17.3 ~5.7)。ロピナビル-リトナビル群の患者はICU入室期間が短かった(中央値6日 vs 11日、差5日、95%信頼区間-9~0日)。ランダム化から退院までの期間も短かった(中央値12日 vs 14日、差1日、95%信頼区間0~3日)。複数の時点において、ウイルスRNAが同定された頻度も同等だった。修正ITT解析では、ロピナビル-リトナビルは臨床的改善を通常ケアよりも中央値で1日早く改善させた(ハザード比1.39、95%信頼区間1.00~1.91)。
消化器系の副作用イベントはロピナビル-リトナビル群で多くみられたが、重篤な副作用イベントは通常ケア群のほうが多かった。副作用イベントのためロピナビル-リトナビル治療が13人(13.8%)で早期中止された。
結論:
COVID-19で入院した成人患者において、ロピナビル-リトナビルは通常群より医学的利益が観察されるわけではなかった。
by otowelt
| 2020-03-20 18:09
| 感染症全般