ニンテダニブ関連下痢の現実的対策
2020年 05月 08日

Hirasawa Y, et al.
Tolerability of nintedanib-related diarrhea in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.
Pulm Pharmacol Ther. 2020 Mar 20:101917. doi: 10.1016/j.pupt.2020.101917.
背景:
ニンテダニブは特発性線維症(IPF)の重要な治療薬であるが、下痢のために一部の患者で継続ができないことがある。この研究では、ニンテダニブ治療中に下痢に陥った患者の薬剤継続率を調べ、止痢薬あるいはニンテダニブ減量が臨床的忍容性と効果を改善するかどうか評価することである。
方法:
2015年12月から2018年3月までにIPF患者86人が我々の施設で治療を受けた。これらのうち、50人がニンテダニブ関連の下痢を発症した。忍容性と継続率を解析した。
結果:
ニンテダニブ関連の下痢を発症した50人のうち、26人(11人が減量なし、15人が減量あり)がニンテダニブの継続投与を受けていた。反面24人(13人が減量なし、11人が減量あり)がニンテダニブの治療を中断されていた。24人中9人が下痢によって中止に至っていた。努力性肺活量の年間減少率およびニンテダニブ投与期間は、用量減量の有無によって有意差はなかった。止痢薬としてもっともよく用いられていたのプロバイオティクスはClostridium butyricumだった(本研究では46人中28人)。ニンテダニブ投与の合計期間は、服用した止痢薬の数によって大幅に異なった:853±221日(3つ以上の薬剤)、424±365日(内服なし、p = 0.043); 460±±142(1剤、p = 0.0003)。
結論:
ニンテダニブを使用して1年以内に下痢が発症した場合、用量減量は肺機能に影響を与えずに忍容性がある方策かもしれない。さらに、複数の止痢薬は、止痢薬単剤や非使用と比べてニンテダニブ使用継続を向上させる実地的な選択肢になるかもしれない。
by otowelt
| 2020-05-08 00:36
| びまん性肺疾患