COVID-19:H1N1によるARDSとの比較
2020年 03月 31日

Xiao Tang, et al.
Comparison of Hospitalized Patients with Acute Respiratory Distress Syndrome Caused by COVID-19 and H1N1
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2020.03.032
背景:
中国において2019年12月にCOVID-19のアウトブレイクが起こった。しかしながら、臨床医や疫学者にとって、COVID-19をインフルエンザウイルスなどの他呼吸器感染症と鑑別することは重要である。
目的:
この研究の目的は、COVID-19とインフルエンザA(H1N1)肺炎の間による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者の臨床症状の違いを調査することである。
試験デザインおよび方法:
これは後ろ向き症例対照研究である。われわれは、COVID-19(73人)あるいはH1N1(75人)によるARDSの2つの独立コホートを比較した。臨床所見、画像所見、治療、予後を比較した。
結果:
COVID-19患者の年齢中央値はH1N1患者よりも高く、男性が多かった (p<0.05)。COVID-19患者は湿性咳嗽、倦怠感、消化器症状の頻度がH1N1患者より低かった(p<0.05)。H1N1患者は、COVID-19患者よりSOFAスコアが高かった(p<0.05)。COVID-19患者のPaO2/FiO2比(198.2mmHg)は、H1N1患者(107.0mmHg)より高かった(p<0.001)。COVID-19患者はH1N1患者よりGGOがよくみられた(p<0.001)。H1N1患者よりCOVID-19患者に投与された抗ウイルス薬は種類がさまざまであった。院内死亡率は、H1N1患者34.7%、COVID-19患者28.8%だった(p=0.483)。SOFAスコア補正死亡率は、H1N1のほうがCOVID-19患者よりも高かった(率比2.009、95%信頼区間1.563-2.583, p<0.001)。
結論:
COVID-19、H1N1によるARDSには多くの臨床所見の違いがあった。H1N1と比較すると、COVID-19は重症度の低いARDSになることが多く、SOFAスコア補正死亡率も低かった。
by otowelt
| 2020-03-31 00:19
| 呼吸器その他