COVID-19:死亡85例の臨床的検討

COVID-19:死亡85例の臨床的検討_e0156318_230117.png いくつか報告がありますが、好酸球低値・リンパ球低値はもしかすると予後予測因子かもしれませんね。

Du Y, et al.
Clinical Features of 85 Fatal Cases of COVID-19 from Wuhan: A Retrospective Observational Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Apr 3. doi: 10.1164/rccm.202003-0543OC.


背景:
 世界におけるCOVID-19の死亡は2万1000人を超えた(ちなみに2020年4月5日時点では6万4000人を超えている)。死亡のリスク因子は、高齢者と併存症とされているが、正確には定義されていない。

目的:
 武漢の2病院においてCOVID-19で致死的だった85人の臨床的特徴を報告すること。

方法:
 2020年1月9日~2月15日までにCOVID-19で死亡した85人の診療録をレビューした。既往歴、曝露歴、併存症、症状、検査所見、胸部CT所見、臨床マネジメントが収集された。

結果:
 年齢中央値は65.8歳で、72.9%が男性だった。よくみられた症状は発熱78人(91.8%)、息切れ50人(58.8%)、倦怠感50人(58.8%)、呼吸困難60人(70.6%)だった。高血圧、糖尿病、冠動脈疾患はもっともよくみられた併存症だった。特筆すべきこととして、81.2%が入院時好酸球数が極めて低かった。合併症としては呼吸不全80人(94.1%)、ショック69人(81.2%)、ARDS63人(74.1%)、不整脈51人(60%)がみられた。77人(90.6%)が抗菌薬治療を受けており、抗ウイルス薬は78人(91.8%)、ステロイドは65人(76.5%)が投与されていた。38人(44.7%)が免疫グロブリン静注、33人(38.8%)がインターフェロンα2b治療を受けていた。

結論:
 このCOVID-19の85例の検討では、致死的な症例のほとんどは50歳を超える男性で、慢性疾患を有していた。ほとんどの患者は多臓器不全で死亡していた。息切れの早期発症は、COVID-19増悪の検知に有用かもしれない。好酸球低値は予後不良と関連するかもしれない。


by otowelt | 2020-04-05 17:40 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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