肺MAC症におけるアスペルギルス沈降抗体陽性は予後不良因子

肺MAC症におけるアスペルギルス沈降抗体陽性は予後不良因子_e0156318_12252933.png 肺アスペルギルス症合併肺MAC症について、実臨床で一番困るのが、ボリコナゾール・リファンピシン問題(通称ボリフ問題)です。

Shirai T, et al.
Impact of Aspergillus precipitating antibody test results on clinical outcomes of patients with Mycobacterium avium complex lung disease
Respiratory Medicine、DOI:https://doi.org/10.1016/j.rmed.2020.105955


背景および目的:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、肺MAC症患者の死亡と関連している。しかしながら、肺MAC症診断時のアスペルギルス沈降抗体(APAb)や肺アスペルギルス症の血清診断の臨床的意義は不明である。この研究の目的は、肺MAC症患者の臨床アウトカムに対するAPAb結果の影響を調べることである。

方法:
 われわれは、2007~2014年に肺MAC症と新規に診断された患者、診断時にAPAbを採取された患者を後ろ向きに検討した。

結果:
 131人が登録された。これらのうち、20人(15.3%)が肺MAC症診断時にAPAb陽性だった。APAb陽性例は男性(70.0% vs. 37.8%, P = 0.013)、気腫肺(60.0% vs. 13.5%, P < 0.001)、間質性肺炎(15.0% vs. 1.8%, P = 0.025)の患者に多くみられた。4.0年の追跡期間中央値の間、肺アスペルギルス症を発症したのは、APAb陽性患者の12人(60.0%、CPA9人、ABPA3人)、APAb陰性の12人(10.8%、CPA12人)だった( P < 0.001)。APAb陰性患者と比べて、APAb陽性患者は有意に死亡率が高かった( P = 0.004)。多変量解析では、高齢、低アルブミン血症、線維空洞 or 線維空洞・結節気管支拡張型の所見、APAb陽性が予後不良因子だった。

結論:
 肺MAC症におけるAPAb陽性患者は、肺アスペルギルス症に進展しやすく予後不良である。


by otowelt | 2020-04-15 00:10 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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