COVID-19:3人に1人が神経学的症状を有する

COVID-19:3人に1人が神経学的症状を有する_e0156318_15255139.png 嗅覚障害と味覚障害も神経学的症状に入っているんですね。

Ling Mao, et al.
Neurologic Manifestations of Hospitalized Patients With Coronavirus Disease 2019 in Wuhan, China
JAMA Neurol. Published online April 10, 2020. doi:10.1001/jamaneurol.2020.1127


背景:
 中国武漢におけるCOVID-19のアウトブレイクは深刻で世界的に広がった。いくつかの研究で、発熱、咳嗽、下痢、倦怠感が典型的症状であることが記述された。しかしながら、われわれの知る限り、COVID-19の神経学的症状については報告されていない。

目的:
 COVID-19患者の神経学的症状について調べること。

デザイン、場所、被験者:
 これは後ろ向き観察ケースシリーズである。2020年1月16日~2月9日までに華中科技大学の3つのケアセンターからCOVID-19患者を登録した。SARS-CoV-2に感染した214人の連続入院患者を対象とした。

アウトカム:
 電子カルテから臨床データが収集され、2人の神経科医によりチェックされた。神経学的症状は3つのカテゴリーに分類された:中枢神経症状(浮動性めまい、頭痛、意識障害、急性脳血管疾患、運動失調、痙攣)、末梢神経症状(味覚障害、嗅覚障害、視覚障害、神経痛)、筋骨格系症状。
 
結果:
 COVID-19患者214人(平均年齢52.7±15.5歳、87人[40.7%]が男性)のうち126人(58.9%)が非重症で、88人(41.1%)が重症だった。78人(36.4%)に神経学的症状がみられた。非重症の患者と比較すると、重症の患者は高齢で、基礎疾患(特に高血圧)を合併しやすく、発熱や咳嗽などのCOVID-19の典型的症状を訴えにくかった。より重症の患者は、急性脳血管疾患(5 [5.7%] vs 1 [0.8%]), 意識障害(13 [14.8%] vs 3 [2.4%]), 筋骨格系症状(17 [19.3%] vs 6 [4.8%])を呈しやすかった。
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(文献より引用)

結論:
 COVID-19患者は神経学的症状を呈しやすかった。この感染症のエピデミック期において、神経学的症状を見た場合に臨床医はSARS-CoV-2感染を疑う必要があるだろう。



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by otowelt | 2020-04-12 15:36 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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