COVID-19:SARS-CoV-2関連下痢について
2020年 04月 13日
思ったより多いという話はよく耳にします。
D'Amico F, et al.
Diarrhea during COVID-19 infection: pathogenesis, epidemiology, prevention and management.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2020 Apr 8. pii: S1542-3565(20)30481-X.
背景・目的:
SARS-CoV-2によるCOVID-19の世界的流行は、緊急事態である。下痢がある症例が増加している。本報告では、疫学、臨床症状、分子メカニズム、管理、SARS-CoV-2関連下痢の予防について調査する。
方法:
2020年3月までにPubMed、EMBASE、Web of Scienceを検索し、SARS-CoV-2感染の診断が確定している患者の下痢と腸の炎症メカニズムを記述した研究を特定した。
結果:
臨床試験では、下痢の発生率が症例の2~50%と幅広くみられた。呼吸器症状との関連性はなかった。プール解析により、全体の下痢発症の頻度は10.4%だった。SARS-CoVは、スパイクタンパクのプライミングにアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)とセリンプロテアーゼのTMPRSS2を使用する。ACE2とTMPRSS2は肺だけでなく、小腸上皮にも発現している。ACE2はさらに上部食道、肝臓、結腸に発現している。ACE2に対するSARS-CoV-2結合親和性は、SARS-CoVと比較して大幅に高くなっている(10〜20倍)。いくつかの報告において、鼻咽頭スワブよりも便中のウイルスRNAのほうが長い期間検出可能とされている。
結論:
下痢は、SARS-CoV-2感染した患者によくみられる症状である。糞便を介した経口感染の可能性がある。COVID-19感染患者の下痢を予防、管理、治療するための最適な方法を検討すべきである。
D'Amico F, et al.
Diarrhea during COVID-19 infection: pathogenesis, epidemiology, prevention and management.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2020 Apr 8. pii: S1542-3565(20)30481-X.
背景・目的:
SARS-CoV-2によるCOVID-19の世界的流行は、緊急事態である。下痢がある症例が増加している。本報告では、疫学、臨床症状、分子メカニズム、管理、SARS-CoV-2関連下痢の予防について調査する。
方法:
2020年3月までにPubMed、EMBASE、Web of Scienceを検索し、SARS-CoV-2感染の診断が確定している患者の下痢と腸の炎症メカニズムを記述した研究を特定した。
結果:
臨床試験では、下痢の発生率が症例の2~50%と幅広くみられた。呼吸器症状との関連性はなかった。プール解析により、全体の下痢発症の頻度は10.4%だった。SARS-CoVは、スパイクタンパクのプライミングにアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)とセリンプロテアーゼのTMPRSS2を使用する。ACE2とTMPRSS2は肺だけでなく、小腸上皮にも発現している。ACE2はさらに上部食道、肝臓、結腸に発現している。ACE2に対するSARS-CoV-2結合親和性は、SARS-CoVと比較して大幅に高くなっている(10〜20倍)。いくつかの報告において、鼻咽頭スワブよりも便中のウイルスRNAのほうが長い期間検出可能とされている。
結論:
下痢は、SARS-CoV-2感染した患者によくみられる症状である。糞便を介した経口感染の可能性がある。COVID-19感染患者の下痢を予防、管理、治療するための最適な方法を検討すべきである。
by otowelt
| 2020-04-13 00:34
| 感染症全般