COVID-19:入院患者の3分の1以上に肝障害がみられる

COVID-19:入院患者の3分の1以上に肝障害がみられる_e0156318_15255139.png 重症例が多い集団をみると、その頻度は高くなりますね。

Fan Z, et al.
Clinical Features of COVID-19-Related Liver Damage.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2020 Apr 10. pii: S1542-3565(20)30482-1.


背景および目的:
 SARS-CoV-2に感染した患者の一部は肝機能障害を呈する。われわれは、COVID-19関連肝障害の特徴を明らかにし、治療の参考材料として提供した。

方法:
 上海公共衛生臨床中心の後ろ向き単施設研究において、2020年1月31日~2月19日の間にCOVID-19と確定された148人の連続患者を登録した(73人が女性、75人が男性、平均年齢50歳)。患者の臨床的特徴、検査パラメータ(肝機能検査を含む)、治療、入院期間を調べた。肝機能の異常は、AST、ALT、γ-GTP、ALP、総アルブミンをみた。

結果:
 入院時、55人(37.2%)に肝機能障害がみられた。そのうち14.5%に高熱がみられたが、肝機能障害がない患者は高熱は4.3%だった(P=.027)。肝機能障害がある患者は、男性が多く、血清プロカルシトニン値やCRPが高かった。入院前に受けた治療には差はなかった。入院後、肝機能障害があった患者はロピナビル/リトナビル治療を受ける頻度が高かった(肝機能障害あり:57.8%、肝機能障害なし:31.3%)。肝機能障害があった患者は、肝機能障害がなかった患者より平均入院期間が長かった(15.09±4.79日 vs 12.76±4.14 日) (P=.021)。

結論:
 SARS-CoV-2に感染した入院患者の3分の1以上に肝機能障害がみられた。これは、入院期間の延長と関連していた。肝機能障害があった患者のほうが入院後にロピナビル/リトナビル治療を受ける頻度が高かったが、薬剤は注意して投与されるべきである。



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by otowelt | 2020-04-14 22:06 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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