COVID-19:心肺停止と蘇生時の感染リスク

COVID-19:心肺停止と蘇生時の感染リスク_e0156318_15255139.png COVID-19患者さんのCPAを見ても、まずはPPEを装着することを優先せねばなりません。
 「救急外来部門における感染対策検討委員会」からpre-hospital CPAに対する指針が出ています。

参考:心肺停止(CPA)症例(病院前診療を含む)に対する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策について

また、AHAからも「COVID-19が疑われるか確定している成人・小児・新生児における一次および二次救命処置に関する暫定ガイダンス」が発表されています。

参考:Interim Guidance for Basic and Advanced Life Support in Adults, Children, and Neonates With Suspected or Confirmed COVID-19: From the Emergency Cardiovascular Care Committee and Get With the Guidelines ®-Resuscitation Adult and Pediatric Task Forces of the American Heart Association in Collaboration With the American Academy of Pediatrics, American Association for Respiratory Care, American College of Emergency Physicians, The Society of Critical Care Anesthesiologists, and American Society of Anesthesiologists: Supporting Organizations: American Association of Critical Care Nurses and National EMS Physicians

①救急処置提供者のSARS-CoV-2曝露機会の低減:
 救命に不可欠な人員に制限する。現場に入る者は全員、PPE着用。
②エアロゾル曝露リスクを低減できる酸素吸入・人工呼吸法を優先:
 空気中のウイルス拡散を最小化するために、全ての人工呼吸処置におけるHEPAフィルター使用、早期の確実な気管挿管、気管挿管後の患者の機械換気による管理。
③蘇生開始・継続の是非の判断:
 医療提供者が患者の保有する危険因子に基づき救命可能性を予測し、COVID-19患者に対するCPR開始・終了が適切か否かを判断できるよう指針を提供すべき。
④院外心停止例への対応:
 バイスタンダーCPRと除細動は、協力的な人や処置可能な人がいる場合には、これまで通り奨励される。救護者および患者の口と鼻をマスクか布で覆うことにより、ハンズオンリーCPR時のバイスタンダー感染リスクを低減できる可能性。

Keith Couper, et al.
COVID-19 in Cardiac Arrest and Infection Risk to Rescuers: A Systematic Review
Resuscitation. 2020 Apr 20;S0300-9572(20)30159-3.


背景:
 心停止の治療を行っている救急隊員には、COVID-19感染のリスクがあるかもしれない。このレビューの目的は、主要な介入(胸骨圧迫、除細動、心肺蘇生法)に関連する潜在的な感染リスクを特定し、国際的な治療の推奨事項を論ずることである。。

方法:
 3つの疑問からなるシステマティックレビューを行った。①主要な介入に関連するエアロゾルの発生。 ②主要な介入に関連する空気感染伝播のリスク。③さまざまな個人用保護具(PPE)の影響。
 2020年3月24日に、MEDLINEなど電子データベースを検索した。適格基準は、上記疑問点に対して個別に作成された。個々の研究のバイアスのリスクを評価し、GRADE基準を用いてエビデンスの質を評価した。

結果:
 11研究が含まれた:コホート研究2つ、症例対照研究1つ、症例報告5つ、マネキンを用いたランダム化比較試験3つ。
 胸骨圧迫または除細動がエアロゾルの発生または感染伝播に関連しているかどうかを示す直接的エビデンスは同定されなかった。症例報告レベルで、胸骨圧迫後に感染した医療従事者の報告があった。
 SARSにおいて、心肺蘇生をおこなった医療従事者への感染性を見た2つのコホート研究がある。いずれの研究も統計学的にこれらの処置が感染伝播リスクを増加させることはなかった。
 マネキンを用いた研究のデータは、PPEの着用が治療開始を遅らせる可能性を示唆した。いずれの研究も間接的なエビデンスを提供するのみで、実患者に適用されるデータはなかった。いずれのエビデンスの質は、低い~極めて低い、だった。

結論:
 胸骨圧迫または除細動がエアロゾルの発生またはCOVID-19の救助者への感染伝播を引き起こすかどうかは不明である。エビデンスは極めて限られている。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

感染症は実在しない [ 岩田 健太郎 ]
価格:1078円(税込、送料無料) (2020/4/24時点)



by otowelt | 2020-04-26 00:50 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優