COVID-19:ネーザルハイフローについて日本呼吸器学会の見解
2020年 04月 24日
昨日、北岡先生のコメントを「ネーザルハイフローは是か非か」で紹介したばかりですが、日本呼吸器学会からネーザルハイフロー(HFNC)の見解が発表されました。基本的には各施設にまかせるといった感じになっています。
当院は陰圧に加えてレッドゾーンでのみCOVID-19患者さんを診る病棟ということもあって、現時点でB案を採用していますが、だからといって挿管時期を逸することがないようにしないといけません。
・参考記事:COVID-19と酸素療法
・参考記事:COVID-19:ネーザルハイフローによるCOVID-19の管理
・参考記事:COVID-19:ネーザルハイフローはエアロゾル飛散リスクが低い
・参考記事:COVID-19:ネーザルハイフローは是か非か
「呼吸器内科医が今後COVID-19肺炎の重症呼吸不全をみていくにあたって下記2つの考え方を提言したい。ただしHFNCが考慮できるのは陰圧個室管理もしくは全体がレッドゾーンとなった病棟においてであり、 医療者が十分な個人防護具(ゴーグル、N95 マスク、ガウン、手袋)を装着し、 HFNC の使用に習熟していて(カニュラ側部からのリークがないよう適切に装着させられる)、医療従事者が同室内にいるときには咳嗽に備えてサージカルマ スクを患者に着用させる必要がある。」
*AないしBを選ぶかは各施設の状況、考え方で判断する
by 倉原優
当院は陰圧に加えてレッドゾーンでのみCOVID-19患者さんを診る病棟ということもあって、現時点でB案を採用していますが、だからといって挿管時期を逸することがないようにしないといけません。
・参考記事:COVID-19と酸素療法
・参考記事:COVID-19:ネーザルハイフローによるCOVID-19の管理
・参考記事:COVID-19:ネーザルハイフローはエアロゾル飛散リスクが低い
・参考記事:COVID-19:ネーザルハイフローは是か非か
「呼吸器内科医が今後COVID-19肺炎の重症呼吸不全をみていくにあたって下記2つの考え方を提言したい。ただしHFNCが考慮できるのは陰圧個室管理もしくは全体がレッドゾーンとなった病棟においてであり、 医療者が十分な個人防護具(ゴーグル、N95 マスク、ガウン、手袋)を装着し、 HFNC の使用に習熟していて(カニュラ側部からのリークがないよう適切に装着させられる)、医療従事者が同室内にいるときには咳嗽に備えてサージカルマ スクを患者に着用させる必要がある。」
A. 通常の酸素吸入(ECMOnet 指針:鼻カニュラもしくはフェイスマスク 5 L/分を上限)で酸素化が維持できなければ挿管人工呼吸を検討する。挿管できない理由がある時のみHFNCを行う。 ・利点:閉鎖回路なので周囲への飛散リスクが最小限となる ・欠点:Ventilator Associated Pneumonia (VAP)のリスクが高くなる、開始前にコードステータスの確認が必要、長期化すると気管切開が必要、挿管時は防護対策を厳重にすることが必要 |
B. 通常の酸素吸入(上記)で酸素化が維持できなければまずHFNCを行う。それでも維持できないときに挿管を行う。HFNC の設定:SpO295%(あるいは PaO2が 70Torr)を目標に FiO2を設定する。総流量は海外ではHNFCが60L/min 以上で使用されているが、飛散を最小限にするため30L~40L/min とし、医療従事者が在室時には同時にサージカルマスクも患者に装着させる。挿管人工呼吸へ移行するタイミングを逸しないように慎重に経過を観察する必要がある。 ・利点:挿管率や ICU 滞在時間が減る可能性、DNI であっても開始できる ・欠点:ウイルス飛散リスクがある(実験データでは許容されているが、安全性を実証したデータはない) |
*AないしBを選ぶかは各施設の状況、考え方で判断する
by otowelt
| 2020-04-24 23:34
| 感染症全般
近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp
by 倉原優
ファン申請 |
||