ALESIA試験:ALK陽性非小細胞肺癌に対するアレクチニブとクリトジニブのランダム化比較試験

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Caicun Zhou, et al.
Alectinib Versus Crizotinib in Untreated Asian Patients With Anaplastic Lymphoma Kinase-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer (ALESIA): A Randomised Phase 3 Study
Lancet Respir Med. 2019 May;7(5):437-446.


背景:
 ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)は約5%に存在するとされている。ALESIA試験は、未治療のALK陽性の進行または転移性NSCLCのアジア人でアレクチニブとクリゾチニブの有効性と安全性の比較検討、およびアレクチニブの薬物動態を検討したランダム化多施設共同オープンラベル第3相試験である。

方法:
 NSCLC患者は、アレクチニブ群(600mg1日2回)またはクリゾチニブ群(250mg1日2回)に2:1にランダムに割り付けられた。プライマリエンドポイントは治験参加医師判定によるPFSとした。セカンダリエンドポイントは独立評価委員会判定によるPFS、中枢神経病変の進行までの期間、中枢神経系における奏効率、治験参加医師判定による奏効率・奏効期間、OS、健康関連QOL、安全性とした。試験は3ヶ国、21施設で実施された。

結果:
 2016年8月3日から2017年5月16日までの間に、187人の患者がランダムにアレクチニブ群(125人)、クリゾチニブ群(62人)に割り付けられた。追跡期間中央値はアレクチニブ群16.2ヶ月、クリゾチニブ群15.0ヶ月だった。治験参加医師判定によるPFSは、アレクチニブ群のほうがクリゾチニブ群より有意に延長していた(ハザード比0.22、95%信頼区間0.13-0.38、p<0.0001)。クリソチニブ群のPFS中央値は11.1ヶ月(95%信頼区間9.1-13.0ヶ月)だったが、アレクチニブ群では未到達だった(95%信頼区間20.3ヶ月-未到達)。独立評価委員会判定によるPFSについても同様で、アレクチニブ群のほうが良好だった(ハザード比0.37、95%信頼区間0.22-0.61、p<0.0001)。客観的奏効がみられた頻度は、アレクチニブ群114人(91%)、クリゾチニブ群48人(77%)で、奏効期間もアレクチニブ群のほうが長かった(ハザード比0.22、95%信頼区間0.12-0.40、p<0.0001)。中枢神経病変の進行までの期間、中枢神経系における奏効率についてもアレクチニブ群のほうが良好だった。治療期間はアレクチニブ群のほうが長かったが(14.7ヶ月 vs 12.6ヶ月)、グレード3-5の副作用イベントおよび重篤な副作用イベントはアレクチニブ群のほうが少なかった。

結論:
 われわれの研究結果はAELX試験に沿う結果となっており、アレクチニブ600mg1日2回はALK陽性NSCLCの1次治療として臨床的利益がある。





by otowelt | 2019-05-27 00:19 | 肺癌・その他腫瘍

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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