COVID-19:神戸市におけるSARS-CoV-2 IgG抗体の血清有病率
2020年 05月 02日
神戸における抗体検査の話、プレプリントです。COVID-19を疑っていない人における有病率のデータとして、慶應義塾大学や大阪市立大学の数値もニュースになっていました。
外来受診した人のうち、血液検査を要した人における血清有病率である点には注意が必要です。
Doi A, et al.
Seroprevalence of novel coronavirus disease (COVID-19) in Kobe, Japan.
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.26.20079822.t
背景:
SARS-CoV-2によるCOVID-19のパンデミックは、地球規模・社会に多大なる影響を与えている。日本は、他国と比べて比較的感染者数や死亡者数が少ないが、正確な有病率は不明である。そこで、われわれは横断研究においてSARS-CoV-2感染の血清有病率を推定した。
方法:
2020年3月31日~4月7日に神戸市立医療センター中央市民病院の外来を受診した患者の1000検体を用いてSARS-CoV-2抗体(IgG抗体[イムノクロマト法]:RCNC002, KURABO Industries Lt)を血清学的に評価した横断研究である(性別、10歳ごとの年齢で層別化)。血液検査をされた理由は問わなかったが、SARS-Cov-2感染の過大評価を避けるために、救急部または発熱外来を受診した患者は除外された。
結果:
1000の血清検体のうち、33検体でIgGが陽性だった(3.3%、95%信頼区間2.3-4.6%)。この数値を神戸市の国勢調査(人口151万8870人)に当てはめると、IgG抗体陽性の人口は5万123人(95%信頼区間3万4934~6万9868人)となる。年齢および性別で調整した陽性有病率は、2.7%(95%信頼区間1.8-3.9%)であり、神戸市人口に換算すると4万999人(95%信頼区間2万7333人~5万9221人)となる。これらの数値は、神戸市におけるPCR陽性確定例の396~858倍の数値である。 (血清陽性者:文献より引用)
結論:
われわれの横断研究では、日本の神戸市におけるSARS-CoV-2が血清陽性となった人口はPCRで確定された症例よりもはるかに多いことが分かった。
外来受診した人のうち、血液検査を要した人における血清有病率である点には注意が必要です。
Doi A, et al.
Seroprevalence of novel coronavirus disease (COVID-19) in Kobe, Japan.
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.26.20079822.t
背景:
SARS-CoV-2によるCOVID-19のパンデミックは、地球規模・社会に多大なる影響を与えている。日本は、他国と比べて比較的感染者数や死亡者数が少ないが、正確な有病率は不明である。そこで、われわれは横断研究においてSARS-CoV-2感染の血清有病率を推定した。
方法:
2020年3月31日~4月7日に神戸市立医療センター中央市民病院の外来を受診した患者の1000検体を用いてSARS-CoV-2抗体(IgG抗体[イムノクロマト法]:RCNC002, KURABO Industries Lt)を血清学的に評価した横断研究である(性別、10歳ごとの年齢で層別化)。血液検査をされた理由は問わなかったが、SARS-Cov-2感染の過大評価を避けるために、救急部または発熱外来を受診した患者は除外された。
結果:
1000の血清検体のうち、33検体でIgGが陽性だった(3.3%、95%信頼区間2.3-4.6%)。この数値を神戸市の国勢調査(人口151万8870人)に当てはめると、IgG抗体陽性の人口は5万123人(95%信頼区間3万4934~6万9868人)となる。年齢および性別で調整した陽性有病率は、2.7%(95%信頼区間1.8-3.9%)であり、神戸市人口に換算すると4万999人(95%信頼区間2万7333人~5万9221人)となる。これらの数値は、神戸市におけるPCR陽性確定例の396~858倍の数値である。
結論:
われわれの横断研究では、日本の神戸市におけるSARS-CoV-2が血清陽性となった人口はPCRで確定された症例よりもはるかに多いことが分かった。
by otowelt
| 2020-05-02 08:37
| 感染症全般