ON-EPIC試験:硝酸塩サプリメントは呼吸リハビリテーションに有用
2020年 05月 26日

テーブルビートについてほとんど知らなかったので、Wikipediaで調べてみました。
「古代ローマ人は、テーブルビートを含むビートを発熱や便秘などの治療に用いた。ローマの美食家アピキウスの著書『料理について』(De Re Coquinaria)に書かれている、便秘に効果がある5種類のスープのうちの3種類にはビートが含まれている。ヒポクラテスは、ビートの葉を傷口にあてることを奨励した。」
Pavitt MJ, et al.
Oral nitrate supplementation to enhance pulmonary rehabilitation in COPD: ON-EPIC a multicentre, double-blind, placebo-controlled, randomised parallel group study.
Thorax. 2020 May 6. pii: thoraxjnl-2019-214278. doi: 10.1136/thoraxjnl-2019-214278.
背景:
食事による硝酸塩の補充は、健常人およびCOPD患者のいずれにおいても、運動パフォーマンスを改善させる戦略として提唱されている。われわれは、COPDにおける呼吸リハビリテーションを促進させるかどうか検証した。
方法:
イギリスにおけるプラセボ対照ランダム化比較試験において、GOLD II-IVのCOPD患者でmMRCスケール3-5あるいは機能的制限がある患者を対象に、週2回の8週間の呼吸リハビリテーションをおこなった。患者は、1:1の割合で硝酸塩の多いビートルート(テーブルビート)ジュース140mL(硝酸塩12.9mmol)あるいはプラセボのビートルートジュースを呼吸リハビリテーションセッションを行う前3時間前に飲んでもらった。
プライマリアウトカムは、漸増負荷シャトルウォークテスト(ISWT)の歩行距離とした。セカンダリアウトカムには、QOL、身体活動レベル、 FMDによる血管内皮機能、除脂肪指数、血圧が含まれた。
結果:
165人が登録され、78人が硝酸塩の多いビートルートジュース、87人がプラセボに割り付けられた。運動耐容能は、プラセボ群より治療群のほうが上昇していた(ISWT距離変化の中央値[IQR]:+60 m [10, 85] vs +30 m [0, 70], 推定差30 m (95%信頼区間10~40); p=0.027)。また、治療群のほうが収縮期血圧に対する影響が大きかった(-5.0 mm Hg [-5.0, -3.0] vs +6.0 mm Hg [-1.0, 15.5], 推定差-7 mm Hg (95%信頼区間7~-20) (p<0.0005)。重篤な合併症や副作用は報告されなかった。
結論:
食事による硝酸塩の補充は、COPDにおける呼吸リハビリテーションの利益を増大させる上で、忍容性が高く効果的な戦略であると思われる。
by otowelt
| 2020-05-26 01:18
| 気管支喘息・COPD