COVID-19:インターフェロンβ1b+カレトラ+リバビリンのトリプル治療

COVID-19:インターフェロンβ1b+カレトラ+リバビリンのトリプル治療_e0156318_10432667.png カレトラを使用している施設は減ったと思います。

Ivan Fan-Ngai Hung, et al.
Triple combination of interferon beta-1b, lopinavir–ritonavir, and ribavirin in the treatment of patients admitted to hospital with COVID-19: an open-label, randomised, phase 2 trial


背景:
 COVID-19パンデミックに対する効果的な抗ウイルス療法が重要である。COVID-19の患者を治療するための、インターフェロンβ1b、ロピナビル-リトナビル、リバビリンの組み合わせによる有効性と安全性を評価した。

方法:
 これは香港の6施設に入院した成人COVID-19患者における多施設共同前向きオープンラベルランダム化第2相試験である。患者は軽症~中等症の成人患者で、症状持続が14日以内で、National early warning score 2 (NEWS2)が少なくとも1点を対象とした。
 患者はランダムに2:1の割合で、14日間のロピナビル400mg-リトナビル100mg12時間ごと+リバビリン400mg12時間ごと+インターフェロンβ1b800万単位隔日3回投与の併用群と、14日間のロピナビル-リトナビル12時間ごとのコントロール群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、SARS-CoV-2 RT-PCRが陰性化になるまでの期間とした(ITT集団)。

結果:
 2020年2月10日~3月20日までに127人の患者が登録された。86人が併用群に、41人にコントロール群に割り付けられた。症状発現から治療開始までの中央期間は5日(IQR 3-7日)だった。併用群は、鼻咽頭スワブの陰性化が有意に早かった (7日 [IQR 5–11日] vs 12日[IQR 8-15日]; ハザード比4.37 [95%信頼区間1.86–10.24], p=0.0010)。副作用イベントとしての悪心や下痢には有意差はなかった。コントロール群の1人は肝障害のためにロピナビル-リトナビルが中止された。死亡した患者はいなかった。
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(アウトカム:文献より引用)

結論:
 軽症~中等症のCOVID-19のトリプル治療はロピナビル-リトナビル単独よりも安全かつ効果的だった。インターフェロンβ1bをバックボーンとするダブル治療の臨床試験が必要であろう。


by otowelt | 2020-05-10 17:33 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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