非HIV PCPにおいて間質性肺疾患は予後不良と関連

非HIV PCPにおいて間質性肺疾患は予後不良と関連_e0156318_2122063.png 熊本大学からの報告です。とても丁寧な論文だと思います。

Hamada S, et al.
Prognostic impact of pre-existing interstitial lung disease in non-HIV patients with Pneumocystis pneumonia.
ERJ Open Res. 2020 May 4;6(2). pii: 00306-2019. doi: 10.1183/23120541.00306-2019.


背景:
 非HIVの免疫不全患者における致死的なニューモシスチス肺炎(PCP)が増えていることは世界的な懸念事項である。しかし、非HIV PCPにおける既存の間質性肺疾患(ILD)の予後的評価がなされたことはない。

方法:
 われわれは、後ろ向きに非HIV PCP患者のILD合併例と非合併例を診療録から抽出した。臨床的特徴とアウトカムが2群で比較された。Cox回帰モデルを用いて予後予測因子を同定した。

結果:
 74人の患者が登録された。90日死亡率はILD群のほうが非ILD群より有意に高かった(62.5% vs 19.0%, p<0.001)。
非HIV PCPにおいて間質性肺疾患は予後不良と関連_e0156318_2185291.png
(文献より引用)

 ILD群において、気管支肺胞洗浄液中の好中球比率が高い患者は、低い患者よりも予後不良だった(p=0.026)。多変量解析では、既存のILD(p=0.002)および低アルブミン血症(p=0.009)は90日死亡の独立リスク因子だった。血清β-Dグルカンは、両群ともにPCP治療後に減少していたが、ILD群ではKL-6の上昇がみられた。ILD群において、治療後KL-6が高い患者は、低い患者と比較して90日死亡率が有意に高かった(78.9% vs 0%, p=0.019)。
非HIV PCPにおいて間質性肺疾患は予後不良と関連_e0156318_21132049.png
(文献より引用)

結論:
 非HIV PCP患者において、既存のILDは予後不良と関連していた。免疫抑制状態にあるILD患者ではPCP予防が必要である。



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by otowelt | 2020-05-29 00:45 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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