Thopazによるデジタルドレナージシステムは自然気胸の入院期間を短縮するか?
2020年 05月 14日

Ruigrok D, et al.
Digital versus analogue chest drainage system in patients with primary spontaneous pneumothorax: a randomized controlled trial.
BMC Pulm Med. 2020 May 11;20(1):136.
背景:
胸腔ドレーナージにより原発性自然気胸(PSP)の治療を受けた患者は、通常、水封を含むアナログドレナージシステムに接続され肉眼的にエアリークを監視される。持続的にエアリークを観察できる電子システムを用いれば、実際のエアリークを適切に監視し、全体的な治療期間の短縮につながるかもしれない。
方法:
われわれは、PSPに対してデジタルシステムThopaz (Medela Healthcare, スイス)を用いることで入院期間が短縮できるのではないかという仮説のもと、アナログシステムとデジタルシステムを比較するランダム化比較試験をおこなった。

結果:
PSP患者102人が登録されたが、アナログシステムとデジタルシステムにおける胸腔ドレナージ期間に有意差はなかった。しかしながら、事後解析では、遷延性エアリークのため手術になった19人を除外すると、入院期間はデジタルシステム群のほうが有意に短かった(中央値1日[IQR 1-5日] vs 3日[IQR 2-5日]、p=0.014)。両群で3人に治療失敗があった。12週以内の再発率に群間差はなかった(デジタルシステム群:16% vs アナログシステム群:8%, p=0.339)。

結論:
デジタルドレナージシステムを用いたPSP管理を適用された患者の入院期間は、アナログシステムを適用された患者よりも有意に短いとは言えなかった。しかしながら、非複雑性PSPのサブグループにしぼると、ドレナージ期間および入院期間はデジタルシステム群で有意に短かった。これらのことから、デジタルドレナージシステムは、PSPの代替管理法となりうる。
by otowelt
| 2020-05-14 00:04
| 呼吸器その他