COVID-19:隔離病棟内におけるSARS-CoV-2による環境表面汚染
2020年 05月 16日

Wu S, et al.
Environmental contamination by SARS-CoV-2 in a designated hospital for coronavirus disease 2019.
Am J Infect Control. 2020 May 11. pii: S0196-6553(20)30275-3.
背景:
COVID-19は院内感染のリスクであるが、環境コンタミネーションとそれがSARS-CoV-2伝播に与える影響についてはまだよくわかっていない。この研究は、SARS-CoV-2伝播に環境コンタミネーションが果たす役割について調べたものである。
方法:
武漢第七病院における研究である。空気中サンプルは、自然降下による捕集によって得られ、環境表面サンプルは通常表面スワブを用いて採取された。SARS-CoV-2 RNA同定はRT PCRを用いた。
結果:
ウイルスRNAは、44の空気中サンプルでは検出されなかった。医療エリアにおける200の環境表面サンプルの陽性率(24.83%)は、居住エリアの陽性率(3.64%)よりも高かった(P <0.05)。一般隔離病棟の陽性率は25.00%で、ICUの陽性率は37.50%だった(p=0.238)。
医療エリアにおける陽性率が高かったトップ5は、①ナースコール(6検体中3検体:50.00%)、②給水機のボタン(8検体中4検体:50.00%)、③エレベーターのボタン(7検体中3検体:42.86%)、④パソコンのマウス(10検体中4検体:40.00%)・電話(10検体中4検体:40.00%)だった。
結論:
指定病院における接触可能な環境表面のほとんどがCOVID-19で汚染されており、環境が伝播の潜在的媒介となることを示している。これらの結果は、ウイルスの蔓延を防ぐために、厳格な環境表面衛生慣行と手指衛生強化の必要性を強調している。
by otowelt
| 2020-05-16 11:23
| 感染症全般