COVID-19:D-dimerが高いと静脈血栓塞栓症リスクが高い
2020年 05月 27日

Mathieu Artifoni, et al.
Systematic Assessment of Venous Thromboembolism in COVID-19 Patients Receiving Thromboprophylaxis: Incidence and Role of D-dimer as Predictive Factors
J Thromb Thrombolysis. 2020 May 25. doi: 10.1007/s11239-020-02146-z.
背景:
COVID-19の凝固障害は問題となっており、血栓塞栓性イベントを防ぐための戦略が議論されている。
目的:
血栓予防を受けているCOVID-19入院患者における静脈血栓塞栓症(VTE)の発生率とリスク因子を決定すること。
方法:
このフランスでおこなわれた後ろ向きコホート研究では、COVID-19確定例で、十分な血栓予防が行われたICU以外の病棟入院患者を登録した。深部静脈血栓症(DVT)が臨床的に疑われた場合は、退院時または早期に下肢静脈ドプラー超音波検査を行った。肺血栓塞栓症(PE)が疑われる場合、胸部造影CTが撮影された。
結果:
71人のCOVID-19患者のうち、適切な血栓予防にもかかわらず、16人がVTE(22.5%)、7人がPE(10%)を発症した。ベースラインのD-dimerは、DVT患者で有意に高かった(p <0.001)。背景、併存症、症状、重症度スコア、炎症マーカーなどのパラメータは、VTEの有無別でそれぞれ同等だった。

ベースラインD-dimer<1.0 µg/mLの陰性的中率は、VTEで90%、PEで98%だった。D-dimer≧1.0 µg/mL、および≧3 µg/mLで、VTEの陽性的中率はそれぞれ44%、67%だった。
結論:
血栓予防にもかかわらず、COVID-19の非ICU入院患者においてVTEリスクは高い。D-dimerが1.0μg/mL以上の場合、VTEリスクが予測される。ヘパリンを用いた積極的レジメンでの予防については前向き研究で評価する必要がある。
by otowelt
| 2020-05-27 00:24
| 感染症全般