
プレプリントサーバーにアップされた後、わずか数日でアクセプトされている点が気になるのと、本文が短くて詳細が不明な点が多いので、ちょっと懐疑的です。
Luis Ayerbe, et al.
The Association Between Treatment With Heparin and Survival in Patients With Covid-19
J Thromb Thrombolysis. 2020 May 31. doi: 10.1007/s11239-020-02162-z.
背景:
この研究は、COVID-19で入院した患者のヘパリンと死亡率の関連を調べたものである。
方法:
2020年3月1日~4月20日までCOVID-19で入院した患者2075人の診療録、臨床データ4月25日まで追跡した。以下の変数が抽出された:年齢、性別、体温、入院時酸素飽和度、ヘパリンによる治療、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、全身性ステロイド、トシリズマブ、ロピナビル/リトナビル、オセルタミビル、死亡日。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、関連を調べた。
結果:
2075人のうち、1256人が男性で、819人が女性だった。平均年齢や67.57歳だった。データ採取時、301人が死亡していた。1447人は自宅退院し、201人がいまだ入院中だった。他院へ転院した126人はデータに組み込まれなかった。追跡期間中央値は8日(IQR 5-12日)だった。1734人にヘパリンが用いられた。
ヘパリンは年齢・性別で補正したモデルにおいて死亡率の低下と関連していた(オッズ比0.55 [95%信頼区間0.37-0.82]、p=0.003)。この関連性は、酸素飽和度<90%、体温>37℃をモデルに組み入れても同様だった(オッズ比0.54 [95%信頼区間0.36-0.82] p = 0.003)。また、他の薬剤を共変量に加えても同様だった(オッズ比0.42 [95%信頼区間0.26-0.66] p < 0.001)。
結論:
この研究ではヘパリンと死亡率低下の関連が観察された。ランダム化比較試験において、ヘパリンの効果を検証すべきである。