COVID-19:武漢2病院における85例の致死的症例の臨床的特徴

COVID-19:武漢2病院における85例の致死的症例の臨床的特徴_e0156318_17185130.png 重症例については過去にいくつも報告があり、好酸球減少症についても既知の知見ですね。

Du Y, et al.
Clinical Features of 85 Fatal Cases of COVID-19 from Wuhan. A Retrospective Observational Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jun 1;201(11):1372-1379.


背景:
 2020年5月12日までにCOVID-19による世界の死亡は28万6000人を超える。死亡のリスク因子として、高齢や合併症が挙げられるが、正確にはわかっていない。

目的: 
 中国武漢の2病院において致死的な経過をたどった85人のCOVID-19患者の臨床的特徴を報告する。

方法:
 2020年1月9日から2月15日までの致死的COVID-19症例85人の診療録を収集した。既往歴、曝露歴、併存症、症状、徴候、検査所見、CT所見、臨床マネジメントの情報が抽出された。

結果:
 年齢中央値は65.8歳で、72.9%が男性だった。よくみられた症状は発熱(78人[91.8%])、息切れ(50人[58.8%]), 疲労感(50人[58.8%]), 呼吸困難(60人[70.6%])だった。高血圧、糖尿病、冠動脈疾患がもっともよくみられた併存症だった。特筆すべきこととして、入院時に81.2%の患者の末梢血好酸球数が極めて低かった。合併症として呼吸不全(80人[94.1%])、ショック(69人[81.2%])、ARDS(63人[74.1%])、不整脈(51人[60%])が含まれた。77人(90.6%)の患者が抗菌薬治療を、78人(91.8%)の患者が抗ウイルス薬を、65人(76.5%)の患者が全身性ステロイド治療を受けた。38人(44.7%)が免疫グロブリン投与を、33人(38.8%)がインターフェロン-α2b投与を受けた。
COVID-19:武漢2病院における85例の致死的症例の臨床的特徴_e0156318_22281955.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

結論:
 このCOVID-19の致死的症例85人の記述研究では、ほとんどの症例が男性で、慢性併存症のある50歳以上であることがわかった。大部分の患者は多臓器不全で死亡した。息切れの早期発症はCOVID-19の症状観察に有用かもしれない。好酸球減少症は予後不良を示唆する。抗菌薬などの併用治療は、これらの集団のアウトカムに医学的利益をもたらさなかった。




by otowelt | 2020-06-08 00:14 | 感染症全般

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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