軽症IPF患者では、牽引性気管支拡張の重症度変化が死亡を最も予測する
2020年 06月 11日

Joseph Jacob, et al.
Serial CT analysis in idiopathic pulmonary fibrosis: comparison of visual features that determine patient outcome
Thorax 2020;0:1–7. doi:10.1136/thoraxjnl-2019-213865
目的:
抗線維化薬を投与されている特発性肺線維症(IPF)患者と、非IPF線維性肺疾患の患者では、しばしば測定変動(5.0%–9.9%)の範囲内で、年間の努力性肺活量(FVC)の低下を示すことがある。われわれは、FVC低下が測定ノイズではなく本物の臨床的悪化をあらわしているかどうか評価するため、胸部CT所見の変化について検討した。
方法:
2つのIPFコホート(コホート1:103人、コホート2:108人)において、ペアの volumetric CT(ベースラインから6~24ヶ月の間に再撮影)が撮影された。ILDの変化、蜂巣肺、網状影、GGOのひろがり、牽引性気管支拡張の重症度が5ポイントスケールで評価された。死亡については単変量および多変量Cox回帰分析を用いて調べられた。これらCT変数の変化がFVC低下を伴うIPF患者の死亡を予測できるかどうかを判断した。
結果:
単変量解析において、GGO以外のすべてのCT変数の変化は両コホートにおいて死亡を予測した。年齢、性別、抗線維化薬、ベースラインの疾患重症度(DLCO)で補正した多変量解析では、牽引性気管支拡張の重症度は、FVC減少とは独立して死亡を予測した。牽引性気管支拡張の重症度の変化は、観察者間一致が良好だった。5.0~9.9%のFVC減少がある患者において、牽引性気管支拡張の重症度の変化は独立して死亡を予測し、蜂巣肺の範囲の変化よりも悪化患者をより多く特定できた。

結論:
5.0~9.9%のFVC減少がある患者の臨床的問題を解決する上で、牽引性気管支拡張の重症度の変化は疾患進行の評価に有用である。
by otowelt
| 2020-06-11 00:07
| びまん性肺疾患