吸引を用いた胸腔ドレナージは安全

吸引を用いた胸腔ドレナージは安全_e0156318_10322082.jpg GRAVITAS試験ですでに証明されていることではありますね。個人的にもそこまで肺水腫を気にしていませんが、高齢者の場合は1.5L以上抜かないほうがよさそうです。

・参考記事GRAVITAS試験:胸水を排液するとき、陰圧をかけるか・かけないか

Ala Eddin S, et al.
Complications following symptom limited thoracentesis using suction
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.02356-2019


背景:
 吸引を用いた胸腔穿刺は気胸や再膨張性肺水腫(REPE)のリスクを増加させると考えられている。現行のガイドラインでは、REPEを回避するためにドレナージ量を1.5Lにとどめるべきとしている。われわれの目的は、吸引を用いた胸水ドレナージの合併症発生率を調べ、REPEのリスク因子を同定することである。

方法:
 2004年1月1日から2018年8月31日の間に、症状が限定的な、吸引による胸腔穿刺を受けた患者の後ろ向きコホート研究が行われた。合計10344回の胸腔穿刺が含まれた。

結果:
 1.5L以上の胸水がドレナージされたのは、全体の19%だった。胸部不快感(39%)、廃液がほぼ完遂(37%)、持続的咳嗽(13%)があった場合、処置は終了となった。胸部レントゲン写真上、気胸は3.98%に同定されたが、介入を要したのは0.28%だった。REPEの頻度は0.08%だった。REPEの頻度は1.5L以上ドレナージされたECOG PS≧3の患者で多くみられた(0.04-0.54%、95%信頼区間0.13-2.06)。縦隔偏位のある患者の胸腔穿刺は合併症を増加させなかったが、胸水ドレナージ量が少なかった(p <0.01)。

結論:
 吸引を用いた胸腔穿刺は、大量の場合でも安全である。介入を要する気胸とREPEはいずれもまれな現象だった。縦隔偏位を伴う胸水貯留でも、処置による合併症増加はなかった。REPEはPSが不良で、ドレナージが1.5L以上になると増加した。胸腔内圧を測定せずに吸引を使用して胸腔ドレナージをおこなっても問題ない。


by otowelt | 2020-06-26 00:30 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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