COVID-19:ダイヤモンドプリンセス号における無症候性SARS-CoV-2感染者の自然史
2020年 06月 17日

Sakurai A, et al.
Natural History of Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection
NEJM, June 12, 2020, DOI: 10.1056/NEJMc2013020
背景:
クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号におけるCOVID-19は、乗客乗員3711人のうち712人にのぼった。これらの感染者のうち410人(58%)は検査時に無症候性だった。ここでは、無症候性のSARS-CoV-2感染の自然史を報告する。
方法:
検査時に無症候性だったSARS-CoV-2感染者96人と、船上でPCR陰性と判定された32人の乗組員が、2月19日から2月26日の間にダイヤモンドプリンセス号から国内の病院に移送された。COVID-19の臨床症状は、中央値4日(IQR3-5日)で96人のうち11人にみられ、これはすなわち無症候性というよりも発症前といえる。船上でPCR検査が陰性だった32人の乗組員のうち8人は、入院後72時間以内にPCR検査が陽性となったが、無症状だった。PCR陽性時および感染が解消するまでのあいだ無症候性だったSARS-CoV-2感染者90人の経過を記す。
結果:
無症候性SARS-CoV-2感染症のグループは、乗客58人と乗組員32人の合計90人で、年齢中央値は59.5歳(IQR36-68歳、範囲9〜77歳)だった。これらのうち、合計24人(27%)には、高血圧(20%)と糖尿病(9%)を含む併存症がみられた。病院における初回PCR検査は、船での最初の検査から平均6日後に実施された。2回陰性を達成するまでの中央期間は9日だった(IQR6-11日、範囲3-21日)。初回PCR陽性から8日後と15日後に感染が解消された人の累積パーセンテージは、それぞれ48%と90%だった。この遅延リスクは、年齢の上昇とともに増加した(年齢が36歳から68歳に増加した場合の平均遅延:4.41日、95%信頼区間2.28-6.53)。

by otowelt
| 2020-06-17 00:04
| 感染症全般