COVID-19:武漢からのチャーター便における感染者の検討
2020年 06月 22日

Kutsuna S,et al.
SARS-CoV-2 screening test for Japanese returnees from Wuhan, China, January 2020.
Open Forum Infectious Diseases, ofaa243, https://doi.org/10.1093/ofid/ofaa243
背景:
SARS-CoV-2はCOVID-19を引き起こす病原微生物であり、中国の武漢から広まった。この研究の目的は、COVID-19流行地域である武漢からチャーター便で帰国した人へのアンケート、症状ベースのスクリーニング、PCRスクリーニングの有効性を評価し、感染者および無症候性感染者の比率を調べることである。
方法:
日本の7つの三次医療機関において行われた後ろ向きコホート研究である。この研究には、武漢から帰国した日本人566人が組み込まれた。
診察後に入院を必要としなかった人々は宿泊施設に移動し、12日間部屋を出ないように政府から指示された。宿泊施設での12日間の検疫中に発熱または呼吸器症状を発症した個人は、PCR検査のために入院となり、陽性なら隔離された。帰国して13日目のPCRが陰性の場合、帰宅が許可された。
結果:
566人の乗客のうち、11人の咽頭スワブSARS-CoV-2 PCRが陽性で、6人が無症状だった。ベースラインの患者特性(年齢、性別、接触歴、症状)をPCR陽性者・陰性者の2群で比較すると、体温以外に有意差はなかった(p < 0.043)。
11人のPCR陽性者のうち6人が無症状で、10日目にはまだ4人が陽性で、1人にいたってはそれが27日目まで陽性だった。11人のうち2人は初回のPCRが陰性だったにもかかわらず、2回目のPCRが陽性となっていた。

結論:
この結果は、封鎖された都市からの帰還者をスクリーニングし、無症候性の個人がどのくらいいるのかを知る重要なデータである。13日間の観察と、2回目のPCRは、無症候性感染者を含む患者スクリーニングに効果的である。
by otowelt
| 2020-06-22 22:52
| 感染症全般