COVID-19:喀痰PCR陰性化までの期間は、鼻咽頭スワブよりも長い
2020年 06月 23日

Wang K, et al.
Differences of SARS-CoV-2 Shedding Duration in Sputum and Nasopharyngeal Swab Specimens among Adult Inpatients with COVID-19.
Chest. 2020 Jun 19. pii: S0012-3692(20)31718-9. doi: 10.1016/j.chest.2020.06.015.
背景:
SARS-CoV-2のウイルス排出期間はよくわかっていない。呼吸器系検体から同定されたSARS-CoV-2 RNAはウイルス排出期間を規定し、COVID-19の臨床マネジメントを最適化するためのエビデンスを提供するかもしれない。
リサーチクエスチョン:
上気道検体および下気道検体におけるSARS-CoV-2 RNAのウイルス排出期間はどのくらいか。また、これに関連するリスク因子は何か。
試験デザインおよび方法:
武漢2病院において2020年2月10日から3月20日までに合計68人のCOVID-19患者入院を登録した。COVID-19は、特異的な呼吸器症状や放射線学的所見があり、2回連続SARS-CoV-2が陽性あるいは抗体が陽性であるものとした。連続してSARS-CoV-2 RNAが鼻咽頭および喀痰から採取された。臨床的特徴がさらに調べられた。
結果:
SARS-CoV-2 RNAは鼻咽頭スワブで48人(70.6%)が陽性、喀痰で30人(44.1%)が陽性だった。喀痰検体からのウイルス排出期間中央値(34日、IQR 24〜40日)は、鼻咽頭スワブ(19日、IQR 14〜25日、P <0.001)からのものよりも有意に長かった。高齢はSARS-CoV-2の長期ウイルス排出に関連する独立リスク因子だった(ハザード比1.71、95%信頼区間1.01-2.93)。鼻咽頭スワブが陰性化した後に喀痰のウイルスRNAが陽性だった患者は9人いた。慢性呼吸器疾患およびステロイド使用は喀痰ウイルス陽性と関連しており、糖尿病は鼻咽頭スワブ・喀痰のいずれものウイルス陽性と関連していた。

結論:
COVID-19患者の下気道でウイルスがより長く排出される可能性があり、感染リスクの長期化につながる可能性がある。また、ウイルス排出期間が長期化している高齢患者に注意すべきである。
by otowelt
| 2020-06-23 22:00
| 感染症全般