
Luo J, et al.
COVID-19 in patients with lung cancer.
Ann Oncol. 2020 Jun 16. pii: S0923-7534(20)39894-X.
背景:
肺癌患者はCOVID-19のアウトカムがきわめて重篤になる可能性がある。COVID-19の重症度に影響を与える個々の患者の特徴と癌固有の特徴を理解することで、このパンデミックにおける最適な癌治療に役立つ可能性がある。
患者および方法:
単施設において2020年3月12日~5月6日にCOVID-19と確定診断された肺癌患者を連続登録した(102人)。重症度は、入院、ICU入室(挿管適否問わず)、死亡のアウトカムから演繹的に定義された。回復は、COVID-19の検査から14日を超え、症状発現から3日を超えたものと定義された。MSK-IMPACTによりHLA対立遺伝子が推定され(46人)、肺癌でCOVID-19ではない対照群(5166人)と比較された。
結果:
肺癌患者のCOVID-19は重症だった(62%が入院、25%が死亡)。重症であるが、COVID-19はパンデミック期の肺癌死亡の少数であった(全体の11%)。COVID-19の重症度を規定する因子は、主に患者個々の因子であり、喫煙歴やCOPDだった(重度のCOVID-19:オッズ比2.9、95%信頼区間1.07-9.44 [23.5 pack-years] vs 3.87、95%信頼区間1.35-9.68[非喫煙者])。過去の胸部手術や放射線治療といって癌特異的特徴、直近の全身性治療は重症度に影響を与えなかった。HLAスーパータイプは非COVID-19対照群と比較してCOVID-19患者の軽症あるいは重症例でも同等だった。ほとんどの患者がCOVID-19から回復したが、初期に挿管を要したのは25%だった。入院患者において、ヒドロキシクロロキンはアウトカムを改善しなかった。
結論:
COVID-19は肺癌患者の重症度と関連している。癌特異的な特徴や治療よりも、患者固有の特徴が重症度の規定因子だった。