ETHOS試験:COPDに対するトリプル吸入療法

ETHOS試験:COPDに対するトリプル吸入療法_e0156318_1312221.png 去年プレスリリースが出ていた既知の知見です。NEJMに掲載されました。高齢者が多い疾患なので、1日2回だとやはり夕方の吸入を忘れがちになります。

Rabe KF, et al.
Triple Inhaled Therapy at Two Glucocorticoid Doses in Moderate-to-Very-Severe COPD.
N Engl J Med. 2020 Jun 24. doi: 10.1056/NEJMoa1916046.


背景:
 COPDに対する、ICS、LAMA、LABAによるトリプル吸入療法の固定用量レジメンはICSは1つの用量でのみ研究されてた経緯があり、ICSの用量に関するデータは不足している。

方法:
 過去1年に増悪歴が最低1回ある中等症~超重症COPDに対する2つの用量のICSを用いたトリプル吸入療法の52週間におよぶ第3相試験において、われわれは1:1:1:1の割合で①ブデソニド320μg/グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、②ブデソニド160μg/グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、③グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、④ブデソニド320μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回のいずれかにランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは、中等症あるいは重症の年間COPD増悪回数とした(修正ITT集団)。
ETHOS試験:COPDに対するトリプル吸入療法_e0156318_22513935.png
(Respir Med. Oct-Nov 2019;158:59-66.)

結果:
 修正ITT集団には8509人の患者が組み込まれた。中等症あるいは重症の年間COPD増悪回数は、320μgブデソニドトリプル吸入療法群(2137人)では1.08、160μgブデソニドトリプル吸入療法群(2121人)で1.07、グリコピロニウム/ホルモテロール群(2120人)で1.42、ブデソニド/ホルモテロール群(2131人)で1.24だった。グリコピロニウム/ホルモテロール群あるいはブデソニド/ホルモテロール群より、320μgブデソニドトリプル吸入療法群において有意に増悪率が低かった(それぞれ24%減[率比0.76、95%信頼区間0.69-0.83,p<0.001]、13%減[率比0.87、95%信頼区間0.79-0.95, p=0.003])だった。これは160μgブデソニドトリプル吸入療法群でも同様だった(それぞれ25%減[率比0.75、95%信頼区間0.69-0.83,p<0.001]、14%減[率比0.86、95%信頼区間0.79-0.95,p=0.002])。治療群における副作用イベントの頻度は同等だった(範囲61.7-64.5%)。ICS使用者における肺炎の頻度は3.5~4.5%で、グリコピロニウム/ホルモテロール群ではこれが2.3%だった。

結論:
 ブデソニド(160μg、320μgのいずれも)、グリコピロニウム、ホルモテロール1日2回のトリプル吸入療法は、グリコピロニウム/ホルモテロールあるいはブデソニド/ホルモテロールよりも中等症あるいは重症COPD増悪率を減少させる。



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by otowelt | 2020-07-01 00:31 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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