ETHOS試験:COPDに対するトリプル吸入療法
2020年 07月 01日
去年プレスリリースが出ていた既知の知見です。NEJMに掲載されました。高齢者が多い疾患なので、1日2回だとやはり夕方の吸入を忘れがちになります。
Rabe KF, et al.
Triple Inhaled Therapy at Two Glucocorticoid Doses in Moderate-to-Very-Severe COPD.
N Engl J Med. 2020 Jun 24. doi: 10.1056/NEJMoa1916046.
背景:
COPDに対する、ICS、LAMA、LABAによるトリプル吸入療法の固定用量レジメンはICSは1つの用量でのみ研究されてた経緯があり、ICSの用量に関するデータは不足している。
方法:
過去1年に増悪歴が最低1回ある中等症~超重症COPDに対する2つの用量のICSを用いたトリプル吸入療法の52週間におよぶ第3相試験において、われわれは1:1:1:1の割合で①ブデソニド320μg/グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、②ブデソニド160μg/グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、③グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、④ブデソニド320μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回のいずれかにランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは、中等症あるいは重症の年間COPD増悪回数とした(修正ITT集団)。 (Respir Med. Oct-Nov 2019;158:59-66.)
結果:
修正ITT集団には8509人の患者が組み込まれた。中等症あるいは重症の年間COPD増悪回数は、320μgブデソニドトリプル吸入療法群(2137人)では1.08、160μgブデソニドトリプル吸入療法群(2121人)で1.07、グリコピロニウム/ホルモテロール群(2120人)で1.42、ブデソニド/ホルモテロール群(2131人)で1.24だった。グリコピロニウム/ホルモテロール群あるいはブデソニド/ホルモテロール群より、320μgブデソニドトリプル吸入療法群において有意に増悪率が低かった(それぞれ24%減[率比0.76、95%信頼区間0.69-0.83,p<0.001]、13%減[率比0.87、95%信頼区間0.79-0.95, p=0.003])だった。これは160μgブデソニドトリプル吸入療法群でも同様だった(それぞれ25%減[率比0.75、95%信頼区間0.69-0.83,p<0.001]、14%減[率比0.86、95%信頼区間0.79-0.95,p=0.002])。治療群における副作用イベントの頻度は同等だった(範囲61.7-64.5%)。ICS使用者における肺炎の頻度は3.5~4.5%で、グリコピロニウム/ホルモテロール群ではこれが2.3%だった。
結論:
ブデソニド(160μg、320μgのいずれも)、グリコピロニウム、ホルモテロール1日2回のトリプル吸入療法は、グリコピロニウム/ホルモテロールあるいはブデソニド/ホルモテロールよりも中等症あるいは重症COPD増悪率を減少させる。
Rabe KF, et al.
Triple Inhaled Therapy at Two Glucocorticoid Doses in Moderate-to-Very-Severe COPD.
N Engl J Med. 2020 Jun 24. doi: 10.1056/NEJMoa1916046.
背景:
COPDに対する、ICS、LAMA、LABAによるトリプル吸入療法の固定用量レジメンはICSは1つの用量でのみ研究されてた経緯があり、ICSの用量に関するデータは不足している。
方法:
過去1年に増悪歴が最低1回ある中等症~超重症COPDに対する2つの用量のICSを用いたトリプル吸入療法の52週間におよぶ第3相試験において、われわれは1:1:1:1の割合で①ブデソニド320μg/グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、②ブデソニド160μg/グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、③グリコピロニウム18μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回、④ブデソニド320μg/ホルモテロール9.6μg 1日2回のいずれかにランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは、中等症あるいは重症の年間COPD増悪回数とした(修正ITT集団)。
結果:
修正ITT集団には8509人の患者が組み込まれた。中等症あるいは重症の年間COPD増悪回数は、320μgブデソニドトリプル吸入療法群(2137人)では1.08、160μgブデソニドトリプル吸入療法群(2121人)で1.07、グリコピロニウム/ホルモテロール群(2120人)で1.42、ブデソニド/ホルモテロール群(2131人)で1.24だった。グリコピロニウム/ホルモテロール群あるいはブデソニド/ホルモテロール群より、320μgブデソニドトリプル吸入療法群において有意に増悪率が低かった(それぞれ24%減[率比0.76、95%信頼区間0.69-0.83,p<0.001]、13%減[率比0.87、95%信頼区間0.79-0.95, p=0.003])だった。これは160μgブデソニドトリプル吸入療法群でも同様だった(それぞれ25%減[率比0.75、95%信頼区間0.69-0.83,p<0.001]、14%減[率比0.86、95%信頼区間0.79-0.95,p=0.002])。治療群における副作用イベントの頻度は同等だった(範囲61.7-64.5%)。ICS使用者における肺炎の頻度は3.5~4.5%で、グリコピロニウム/ホルモテロール群ではこれが2.3%だった。
結論:
ブデソニド(160μg、320μgのいずれも)、グリコピロニウム、ホルモテロール1日2回のトリプル吸入療法は、グリコピロニウム/ホルモテロールあるいはブデソニド/ホルモテロールよりも中等症あるいは重症COPD増悪率を減少させる。
by otowelt
| 2020-07-01 00:31
| 気管支喘息・COPD