
・参考記事:慢性気管支炎に対するBronchial Rheoplasty

Justin L Garner, et al.
A Prospective Safety and Feasibility Study of Metered CryoSpray (MCS) for Patients with Chronic Bronchitis in COPD.
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.00556-2020
背景:
COPDにおける慢性気管支炎の気道過化生および粘液分泌過多に対して確立された治療法はない。定用量クライオスプレー(MCS)は、液体窒素を気管気管支に適用し、異常な上皮を焼灼するものである。これにより正常な気道分泌が促せる。この研究の目的は、慢性気管支炎におけるMCSの効果と安全性を評価することである。

予測1秒量が30-80%で適切な治療を受けているCOPD患者が登録された。プライマリアウトカムは、実用性(治療完遂)、効果(3ヶ月後のSGRQスコア)、安全性(有害事象)である。セカンダリアウトカムとして肺機能、運動耐容能、追加報告アウトカムなど。
結果:
35人のうち、19人が男性、16人が女性だった(年齢47-76歳)。GOLD Iは3人、IIは10人、IIIは22人だった。全員に気管気管支へ液体窒素プローベが適用された。34人が治療を完遂した(平均処置時間34.3±12.1分、4-6週ごと)。初回治療後に1人が脱落した。本研究では、およそ1800回のMCSが用いられた。
結論:
3ヶ月後の観察時における臨床的意義のある患者報告アウトカムの改善は、SGRQ変化−6.4 (95% 信頼区間−11.4~−1.3; p=0.01)、CATスコア−3.8 (95%信頼区間−6.4~−1.3; p<0.01)、LCQ 21.6 (95%信頼区間7.3~35.9; p<0.01)だった。CATスコアの改善は、6ヶ月間続いた(−3.4 、95信頼区間−5.9~−0.9; p=0.01])き、9ヶ月時のSGRQとLCQも改善していた(それぞれ−6.9、95%信頼区間−13.0~−0.9; p=0.03、13.4、95%信頼区間2.1~24.6; p=0.02)。
12ヶ月時点で、14の重篤な有害事象が報告された(11人、31.4%)6件が中等症で8件が重症だった。9件は呼吸器系に関連したもので、COPD増悪が6件、肺炎が2件、咳嗽が1件だった。いずれも回復している。処置やデバイスに関連したと思われる有害事象はなかった。
結論:
慢性気管支炎に対するMCSは安全で実用性があり、臨床的に意義のある改善を示すかもしれない。