ATS/ERS/ESCMID/IDSA 肺NTM症ガイドライン

ATS/ERS/ESCMID/IDSA 肺NTM症ガイドライン_e0156318_1611888.png さすがに、前回からかなりの年数が経過しており、間が空きすぎた感はあります。

Daley CL, et al.
Treatment of Nontuberculous Mycobacterial Pulmonary Disease: An Official ATS/ERS/ESCMID/IDSA Clinical Practice Guideline
CID,DOI: 10.1093/cid/ciaa241


I: 肺NTM症は抗菌薬で治療すべきか、それとも進行のエビデンスをみるために注意深く追跡すべきか?
1.肺NTM症の診断基準に合致する患者に対して、特に抗酸菌性塗抹・空洞がある患者においては、注意深い観察よりも治療開始を推奨する(条件付き推奨)。

II: 肺NTM症は経験的に治療すべきか、あるいはin vitroの薬剤感受性結果に基づいて治療すべきか?
1.肺MAC症患者では、経験的治療よりもマクロライドおよびアミカシンの感受性結果に基づいて治療を行うことを支持する(条件付き推奨)。
2.肺M. kansasii症患者では、経験的治療よりもリファンピシンの感受性結果に基づいて治療を行うことを支持する(条件付き推奨)。
3.肺M. xenopi症患者では、薬剤感受性結果に基づく治療を推奨あるいは反対するにはエビデンスが不足している。
4.肺M. abscessus症患者では、経験的治療よりもマクロライドおよびアミカシンの感受性結果に基づいて治療を行うことを支持する(条件付き推奨)。マクロライドに対しては、潜在的マクロライド耐性について評価するため、14日間の培養・erm(41)遺伝子のシークエンスが必要である。

III: マクロライド感受性肺MAC症患者では、マクロライドを用いた3剤併用で治療すべきか、マクロライドを用いない3剤併用で治療すべきか?
1.マクロライド感受性肺MAC症患者では、マクロライドを用いない3剤併用よりもマクロライドを用いた3剤併用療法で治療することを推奨する(強い推奨)。

IV: マクロライド感受性肺MAC症患者では、クラリスロマイシンベースのレジメンよりもアジスロマイシンベースのレジメンで治療すべきか?
1.マクロライド感受性肺MAC症患者では、クラリスロマイシンベースのレジメンよりもアジスロマイシンベースのレジメンで治療することを支持する(条件付き推奨)。

V: 肺MAC症患者では、注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシン含有レジメン、または注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシン非含有レジメンで治療すべきか?
1.空洞あるいは進行性/重症気管支拡張症あるいはマクロライド耐性肺MAC症の患者では、注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシンを初期治療レジメンに加えるべきである(条件付き推奨)。

VI: マクロライド感受性肺MAC症の患者では、吸入アミカシンを用いて治療すべきか、あるいは用いないで治療すべきか?
1.新たに肺MAC症と診断された患者では、初期治療レジメンとして吸入アミカシンもアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)の使用を支持しない(条件付き推奨)。
2.ガイドラインに基づく治療を6ヶ月以上行った後で治療が失敗した肺MAC症患者では、標準経口レジメンではなくALISを治療レジメンに追加することのみを推奨する(強い推奨)。

VII: マクロライド感受性肺MAC症患者では、3剤あるいは2剤のマクロライド含有レジメンを使用すべきか?
1.マクロライド感受性肺MAC症患者では、2剤(マクロライド、エタンブトール)よりも少なくとも3剤(マクロライド、エタンブトールを含む)を用いた治療を支持する(条件付き推奨)。

VIII: マクロライド感受性肺MAC症患者では、毎日あるいは週3回のマクロライドベースのレジメンを使用すべきか?
1.非空洞型・結節気管支拡張型のマクロライド感受性肺MAC症患者では、毎日のマクロライドベースのレジメンを内服するよりも週3回の内服を支持する(条件付き推奨)。
2.空洞型あるいは重症/進行性の結節気管支拡張型のマクロライド感受性肺MAC症患者では、週3回のマクロライドベースのレジメンを内服するよりも毎日の内服を支持する(条件付き推奨)。

IX: マクロライド感受性肺MAC症患者では、培養陰性後12ヶ月未満の治療をおこなうべきか、あるいは12ヶ月以上治療すべきか?
1.マクロライド感受性肺MAC症患者では、培養陰性から少なくとも12ヶ月の治療を行うことを支持する(条件付き推奨)。
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X: リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、イソニアジド含有レジメンで治療すべきか?あるいはマクロライド含有レジメンで治療すべきか?
1.リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、リファンピシン、エタンブトールに加えて、イソニアジドまたはマクロライドのいずれかの併用を支持する(条件付き推奨)。

XI: リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシンを治療レジメンに加えるべきか?
1.肺M. kansasii症の患者では、ルーチンに注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシンの使用することを支持しない(強い推奨)。

XII: リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、フルオロキノロン含有レジメンで治療すべきか?あるいはフルオロキノロン非含有レジメンで治療すべきか?
1.リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、リファンピシン、エタンブトールに加えて、フルオロキノロンのかわりにイソニアジドあるいはマクロライドを含めた治療レジメンを使用することを支持する(条件付き推奨)。
2.リファンピシン耐性肺M. kansasii症あるいはファーストラインの治療に忍容性がない患者では、フルオロキノロン(モキシフロキサシンなど)をセカンドラインの治療レジメンとして使用することを支持する(条件付き推奨)。

XIII: リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、週3回の治療レジメンを用いるべきか?あるいは毎日の治療レジメンを用いるべきか?
1.リファンピシン、エタンブトール、マクロライドを含めたレジメンで治療を受けている非空洞型・結節気管支拡張型の肺M. kansasii症の患者では、毎日の内服あるいは週3回の内服のいずれかを支持する(条件付き推奨)。
2.リファンピシン、エタンブトール、マクロライドを含めたレジメンで治療を受けている空洞型の肺M. kansasii症の患者では、週3回の内服よりも毎日の内服を支持する(条件付き推奨)。
3.イソニアジド、エタンブトール、リファンピシンを含めたレジメンで治療を受けている肺M. kansasii症の患者では、週3回の内服よりも毎日の内服を支持する(条件付き推奨)。

XIV:リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、12ヶ月未満の治療をおこなうべきか、あるいは12ヶ月以上治療すべきか?
1.リファンピシン感受性肺M. kansasii症の患者では、少なくとも12ヶ月治療することを支持する(条件付き推奨)。
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XV: 肺M. xenopi症の患者では、フルオロキノロン含有レジメンで治療すべきか?あるいはフルオロキノロン非含有レジメンで治療すべきか?
1.肺M. xenopi症の患者では、モキシフロキサシンあるいはマクロライドを含めた多剤併用治療を行うことを支持する(条件付き推奨)。

XVI: 肺M. xenopi症の患者では、2,3,4剤併用レジメンで治療すべきか?
1. 肺M. xenopi症の患者では、リファンピシン、エタンブトール、またはマクロライド・フルオロキノロン(モキシフロキサシンなど)を少なくとも3剤用いて治療することを支持する(条件付き推奨)。

XVII: 肺M. xenopi症の患者では、注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシンを治療レジメンに加えるべきか?
1.空洞型あるいは進行/重症気管支拡張型のある肺M. xenopi症の患者では、注射剤のアミカシンあるいはストレプトマイシンを治療レジメンに加え、専門家にコンサルトすることを支持する(条件付き推奨)。

XVIII: 肺M. xenopi症の患者では、培養陰性化後12ヶ月未満の治療をおこなうべきか、あるいは12ヶ月以上治療すべきか?
1. 肺M. xenopi症の患者では、培養陰性化後少なくとも12ヶ月を超えて治療を継続することを支持する(条件付き推奨)。
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XIX: 肺M. abscessus症の患者では、マクロライドベースの治療レジメンを用いるべきか?あるいはマクロライドを加えない治療レジメンを用いるべきか?
1.マクロライドに対して誘導耐性または変異耐性のない肺M. abscessus症の患者では、マクロライド含有の多剤併用治療を用いることを支持する(強い推奨)。
2.マクロライドに対して誘導耐性または変異耐性のある肺M. abscessus症の患者では、免疫調節特性のために使用されている場合は、マクロライド含有レジメンを支持するが、マクロライドは多剤レジメンの活性薬物としてカウントしない(条件付き推奨)。

XX: 肺M. abscessus症の患者では、多剤併用治療としていくつの抗菌薬を使用すべきか?
1.肺M. abscessus症の患者では、初期治療レジメンとして少なくとも活性のある3剤併用治療を導入することを支持する(in vitroの感受性結果に基づく)(条件付き推奨)。

XXI: 肺M. abscessus症の患者では、短期治療あるいは長期治療のいずれを用いるべきか?
1. 肺M. abscessus症の患者では、短期治療あるいは長期治療のいずれのレジメンも使用すること、および専門家にコンサルトすることを支持する(条件付き推奨)。
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XXII: 肺NTM症の治療として外科治療と内科的治療の併用をおこなうべきか?あるいは内科的治療単独で治療すべきか?
1.選択的な肺NTM症の患者では、内科的治療のアジュバントとして外科的切除をおこなうこと、および専門家にコンサルトすることを支持する(条件付き推奨)。




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by otowelt | 2020-07-08 00:59 | 抗酸菌感染症

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優