
Iqbal N, et al.
Effects of systemic steroids on patients with community-acquired pneumonia: Observational study from a tertiary care hospital of a developing country.
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2020.05.004
背景:
重症市中肺炎(SCAP)に対してステロイドが投与されることがあるが、発展途上国には限られたエビデンスしか存在しない。この研究は、パキスタンの三次病院においてCAP患者に全身性ステロイドを投与する効果を検証したものである。
方法:
後ろ向き観察研究において、パキスタンのアガ・カーン大学病院の患者を登録した。二項ロジスティック回帰および負の二項回帰分析を用いて、全身性ステロイドが院内死亡率、入院期間、臨床的安定までの期間に与える影響を調べた。
結果:
合計1100人が登録され、508人が解析に組み込まれた。173人 (34.0%)が全身性ステロイド投与を受けていた。これらの患者は、ステロイドを投与されていない患者と比較して、併存症の頻度が高く(喘息[p = 0.002]、COPD[p < 0.001])、両側性病変が多くみられ(p < 0.001)、CURB-65スコアが高かった(p < 0.001)。総死亡率は10.8%だった。調整後でも、全身性ステロイドは死亡率に影響を与えなかった(補正オッズ比0.85, 95%信頼区間0.39–1.88)。全身性ステロイド投与を受けた患者は、入院期間が(IRR1.51, 95%信頼区間1.37–1.66)、臨床的安定までの期間(IRR1.50, 95%信頼区間1.13–1.33)が有意に長かった。

結論:
われわれの研究では、CAPに対して全身性ステロイドは死亡に対する利益が示されなかった。それどころか、入院期間や臨床的安定までの期間が延長した。