首吊りによる院内死亡のリスク因子
2020年 08月 31日

・参考記事:首吊り自殺未遂者は、再自殺に成功しやすい
Louise de Charentenay, et al.
Outcomes in 886 Critically Ill Patients after Near-Hanging Injury
Chest. 2020 Aug 3;S0012-3692(20)32091-2.
背景:
首吊り絞頸による致死的イベントのデータは少ない。
リサーチクエスチョン:
首吊り絞頸による院内死亡のアウトカムと早期予測因子は何か。
試験デザイン:
1992年から2014年の間に、フランスとベルギーの大学病院あるいは大学病院関連のICU31施設で、自殺による首吊り絞頸で蘇生された成人患者を後ろ向きに登録した。ロジスティック回帰分析により、退院時の生命予後および機能的転帰に関連する因子をプライマリエンドポイントとして同定した。
結果:
患者886人(女性181人、男性705人、年齢中央値43歳[34-52])のうち、266人(30.0%)が自殺未遂、600人(67.7%)が精神疾患ありと診断され、55人(6.2%) 入院中に首吊りを試みた。 発見から解放までの時間の中央値は0分[0-0](範囲0-82)だった。 ICU入院時のGCSの中央値は3 [3-5]だった。首吊りにより450人/886人(50.8%)の患者で心停止がみられた。全体として、497人/886人(56.1%)の患者は退院時に生存しており、好ましい認知機能結果だったのは479人/497人(96.4%)だった。多変量解析によると、病院内死亡に関連する要因は、首吊り後の心停止(オッズ比19.50; 95%信頼区間7.21-60.90; p <0.00001)、ICU入院時の血糖値が1.4g/Lを超える(オッズ比4.34; 95%信頼区間1.82-10.81; p = 0.0007)および乳酸> 3.5 mmol/L(オッズ比9.98; 95%信頼区間4.17-25.36; p <0.00001)だった。
結論:
大規模な多施設後ろ向きコホートの調査結果により、首吊り後の心停止は高い死亡率であることが示された。ただし、生存した患者は認知機能の回復が良好であった。
by otowelt
| 2020-08-31 00:46
| 救急