高齢者気胸の臨床的特徴
2020年 09月 01日

Takahashi F, et al.
Etiology and prognosis of spontaneous pneumothorax in the elderly
Geriatr Gerontol Int. 2020 Aug 7. doi: 10.1111/ggi.13996.
目的:
自然気胸は二峰性の年齢分布を示し、2つ目のピークは50歳以上にみられる。本研究の目的は、高齢者における自然気胸の病因と予後を明らかにすることである。
方法:
自然気胸のために、2006~2016年の間に三次大学病院に入院した50歳以上の患者を後ろ向きに調査した。
結果:
50歳以上の自然気胸(平均年齢70歳、男性114人)の連続136人の患者のうち、124人(91%)が肺気腫(42%)と間質性肺炎(27%)を含む肺疾患を有していた。間質性肺炎の症例では、胸部ドレナージの中央値期間が長く(14日)、原発性気胸(4日; P <0.001)および気腫(9日; P <0.005)の症例よりも長かった。気胸の発症後180日以内に18人の患者(13%)が死亡した。死亡率は間質性肺炎(27%)の症例で最も高く、主に感染性合併症と関連していた。入院から180日以内の死亡または呼吸不全悪化は、多変量ロジスティック回帰分析において、高齢、全身性ステロイド使用、間質性肺炎と関連していた。
結論:
肺気腫は、高齢者の自然気胸に関連する最も一般的な基礎疾患である。間質性肺炎に関連する気胸はそれほど頻繁ではないものの、長期のチューブ留置が必要であり、特に全身性ステロイドを投与されている患者では、死亡・罹患率が高かった。間質性肺炎関連気胸の患者には、さまざまな治療戦略が必要となる。
by otowelt
| 2020-09-01 00:56
| 呼吸器その他