短期アセタゾラミドは睡眠時無呼吸のアウトカムを改善

短期アセタゾラミドは睡眠時無呼吸のアウトカムを改善_e0156318_21164634.png 睡眠時無呼吸とダイアモックスの話。

Christopher N Schmickl, et al.
Acetazolamide for Obstructive and Central Sleep Apnea: A Comprehensive Systematic Review and Meta-Analysis.
Chest. 2020 Aug 5;S0012-3692(20)31904-8.


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)および中枢性睡眠時無呼吸(CSA)の治療オプションは限られており、多くの患者が未治療である。アセタゾラミドは、時にCSAに用いられるが、OSAとCSAの病態生理学が重複していることから、アセタゾラミドは両タイプに同等の効果があると仮定した。これまでのレビューでは、睡眠時無呼吸の特定のサブタイプ、研究デザイン、言語を限定していたため、かなり少ない研究(3以下)による考察がなされていた。

リサーチクエスチョン:
 睡眠時無呼吸に対するアセタゾラミドの効果はどの程度か、またその効果は睡眠時無呼吸のサブタイプやアセタゾラミドの投与量によって変わるか?

試験デザインおよび方法:
 2019年3月11日までの報告を電子データベース(MEDLINE, EMBASE、linicalTrials.gov)から抽出した。経口アセタゾラミドとアセタゾラミド非投与(コントロール)の投与を受けたOSA/CSAの成人の研究を登録した。2人の研究者が妥当性とデータを検証した。プライマリアウトカムはAHIと夜間SpO2の最低値とした。エビデンスの質はGRADEによって判定した。

結果:
 28研究が登録された(OSA13研究/CSA15研究:アセタゾラミド542人、コントロール553人)。アセタゾラミドは36-1000mg/日、治療期間は1-90日(中央値6日)だった。コントロール群と比較してアセタゾラミドはAHIを有意に低下させた(37.7%減、AHI13.8減少)。OSAとCSAのAHI減少度合いは同等だったが、高用量アセタゾラミドのほうが効果が大きかった。アセタゾラミドは、夜間SpO2の最低値も4.4%上昇させた(95%信頼区間2.3-6.5)。

結論:
 短期的なアセタゾラミドはOSAおよびCSAを改善する。長期追跡によるアセタゾラミドの効果をみる研究が望まれる。



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by otowelt | 2020-10-20 00:40 | 呼吸器その他

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


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