
William D Bennett, et al.
Effect of hypertonic saline on mucociliary clearance and clinical outcomes in chronic bronchitis
ERJ Open Res. 2020 Aug 11;6(3):00269-2020.
背景:
粘液排出障害は、嚢胞性線維症(CF)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一般的な特徴である。CFでは、高張食塩水(HS)を吸入すると肺機能が改善され、粘液線毛クリアランス(MCC)が持続的に増加する。 HS(7%NaCl)を1日2回2週間投与すると、臨床転帰が改善し、慢性気管支炎(CB)フェノタイプのCOPD患者のMCCが持続的に増加するという仮説を立てた。
方法:
22人のCB患者が、ネブライザーを介して1日に2回2週間、HSおよび低張コントロール溶液(0.12%生理食塩水)の吸入を比較する二重盲検クロスオーバー研究に登録された。治療順序はランダム化された。各治療期間中、症状と肺活量が測定された。MCCは、ベースライン時、最初の試験薬投与直後、最終投与の約12時間後に測定された。
結果:
HSは安全で忍容性は良好だったが、肺活量または患者報告アウトカムに有意な改善はみられなかった。CB患者は、健常者よりもベースラインMCCが遅延していた。2週間後のCB被験者における60分を超えるMCC(Ave60Clr)は0.12%生理食塩水と変わらなかったが、ベースラインよりも遅延していた(HS後5.3±6.9% vs Ave60Clr9.1±6.3%、p <0.05) 。サブグループ解析では、ベースラインのクリアランス残存被験者14人において、HS治療後にスパイロメトリーと症状が改善したものの、0.12%の生理食塩水では改善しなかった。
結論:
吸入HSは、一般的なCB集団では安全だった。特定のサブグループでHSの恩恵を受ける可能性があるものの、追加の研究が必要である。