COPDに対する高張食塩水吸入の効果

COPDに対する高張食塩水吸入の効果_e0156318_152551100.png 確かに痰は出しやすくなるのですが、あまり意味はなさそうです。

William D Bennett, et al.
Effect of hypertonic saline on mucociliary clearance and clinical outcomes in chronic bronchitis
ERJ Open Res. 2020 Aug 11;6(3):00269-2020.


背景:
 粘液排出障害は、嚢胞性線維症(CF)および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一般的な特徴である。CFでは、高張食塩水(HS)を吸入すると肺機能が改善され、粘液線毛クリアランス(MCC)が持続的に増加する。 HS(7%NaCl)を1日2回2週間投与すると、臨床転帰が改善し、慢性気管支炎(CB)フェノタイプのCOPD患者のMCCが持続的に増加するという仮説を立てた。

方法:
 22人のCB患者が、ネブライザーを介して1日に2回2週間、HSおよび低張コントロール溶液(0.12%生理食塩水)の吸入を比較する二重盲検クロスオーバー研究に登録された。治療順序はランダム化された。各治療期間中、症状と肺活量が測定された。MCCは、ベースライン時、最初の試験薬投与直後、最終投与の約12時間後に測定された。

結果:
 HSは安全で忍容性は良好だったが、肺活量または患者報告アウトカムに有意な改善はみられなかった。CB患者は、健常者よりもベースラインMCCが遅延していた。2週間後のCB被験者における60分を超えるMCC(Ave60Clr)は0.12%生理食塩水と変わらなかったが、ベースラインよりも遅延していた(HS後5.3±6.9% vs Ave60Clr9.1±6.3%、p <0.05) 。サブグループ解析では、ベースラインのクリアランス残存被験者14人において、HS治療後にスパイロメトリーと症状が改善したものの、0.12%の生理食塩水では改善しなかった。

結論:
 吸入HSは、一般的なCB集団では安全だった。特定のサブグループでHSの恩恵を受ける可能性があるものの、追加の研究が必要である。




by otowelt | 2020-10-25 00:49 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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