
参考記事:VISION試験:METエクソン14スキッピング変異のあるNSCLCに対するテポチニブ
Jürgen Wolf, et al.
Capmatinib in MET Exon 14–Mutated or MET-Amplified Non–Small-Cell Lung Cancer
N Engl J Med 2020; 383:944-957
背景:
非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、全体の3~4%にMETエクソン14スキッピング変異、1~6%にMET増幅が生じている。選択的MET受容体阻害剤であるカプマチニブは、さまざまな機序において活性化させた癌モデルにおいて抗腫瘍活性を示している。
方法:
MET制御異常を持つ進行NSCLC患者を対象にカプマチニブを評価する複数コホート第2相試験を実施した。患者は、前治療数、METステータス(METエクソン14スキッピング変異,腫瘍組織の遺伝子コピー数別のMET増幅)に基づいて複数のコホートに割り付け、カプマチニブ(400mg錠)を1日2回投与した。主要評価項目は、全奏効(完全奏効または部分奏効)とし、重要な副次的評価項目は奏効期間とした。両コホートの割り付けについて盲検されたスタッフから構成される独立判定委員会によって評価された。
結果:
合計364人がいずれかのコホートに割り付けられた。METエクソン14スキッピング変異を有するNSCLC患者では、1~2種類の前治療歴のある69人の41%(95%信頼区間29-53%)と、前治療歴のない28人の68%(95%信頼区間48-84)で全奏効が得られた。奏効期間の中央値はそれぞれ9.7ヶ月(95%信頼区間5.6-13.0)と12.6ヶ月(95%信頼区間5.6-推定不能)だった。前治療歴があり遺伝子コピー数が10未満のMET増幅を有する患者では有効性は限定的だった(全奏効が得られた患者は全体の7-12%)。遺伝子コピー数10以上のMET増幅を有する患者のうち、前治療歴のある患者の29%(95%信頼区間19-41)と、前治療歴のない患者の40%(95%信頼区間16-68)で全奏効が得られた。とりわけ報告が多かった有害事象は、末梢性浮腫(51%)と悪心(45%)で、ほとんどがGrade 1または2だった。
結論:
カプマチニブは、METエクソン14スキッピング変異を有する進行NSCLC患者、特に前治療歴のない患者において高い抗腫瘍活性を示した。MET増幅を有する進行NSCLCに対する有効性は、遺伝子コピー数が多い腫瘍のほうが有効性が高かった。低グレードの末梢性浮腫と悪心が主たる毒性だった。