INOX試験:夜間低酸素血症のあるCOPDに対する酸素療法

INOX試験:夜間低酸素血症のあるCOPDに対する酸素療法_e0156318_10273519.png 微妙な低酸素血症に対する酸素療法は、LOTT試験でも議論されたように、大きな臨床的意義はなく、QOLとかそういう次元なんだと思います。

・参考記事LOTT試験:安定期COPDにおける中等度酸素飽和度低下例に長期間酸素療法は有意な利益もたらさず

 盲検化されているとはいえ、プラセボ群はほぼ何もしていないのに鼻カニューレを通しているわけなのが、やるせないです。

Lacasse Y, et al.
Randomized Trial of Nocturnal Oxygen in Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
N Engl J Med 2020; 383:1129-1138


背景:
 長期酸素療法はCOPD患者の生存を改善し、日中の慢性重症低酸素血症を改善する。しかしながら、夜間のみ低酸素血症がある患者の管理に対する酸素の効果は不明である。

方法:
 二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験において、長期酸素療法を要さない夜間低酸素血症があるCOPD患者に、夜間酸素を3〜4年間投与すると死亡率が低下するかどうか、あるいは長期酸素療法を要するような病態の悪化に陥るかを判断した。夜間測定記録時間の少なくとも30%で酸素飽和度が90%未満の患者が、1:1の割合で濃縮器から酸素または室内気を投与されるよう割り付けられた。プライマリアウトカムは、死亡あるいは長期酸素投与を要する病態(NOTT基準)の複合とされた。

結果:
 予定された600人のうち243人の患者が28施設でランダムされた後、新規登録継続が困難であるため、試験は早期中止された。3年間の追跡調査で、夜間酸素投与群に割りつけられた患者が死亡あるいはNOTT基準を満たす長期酸素療法を受けることとなった(差-3.0%ポイント:95%信頼区間-15.1~9.1)。

結論:
 われわれの不十分な臨床試験では、夜間酸素投与がCOPD患者の生存または長期酸素療法への移行に何らかの臨床的影響を与えるという根拠はない。





by otowelt | 2020-09-19 00:00 | 気管支喘息・COPD

近畿中央呼吸器センター 呼吸器内科の 倉原優 と申します。医療従事者の皆様が、患者さんに幸せを還元できるようなブログでありたいと思います。原稿・執筆依頼はメールでお願いします。連絡先:krawelts@yahoo.co.jp


by 倉原優
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