ARCTIC試験:COPDにおける吸入ステロイドと骨折の関連
2020年 11月 13日

・参考記事:COPDにおける吸入ステロイドは骨折と関連しているか?
Janson C, et al.
Osteoporosis and fracture risk associated with ICS use among Swedish COPD patients: the ARCTIC study
Eur Respir J. 2020 Sep 24;2000515.
背景:
COPD患者の骨粗鬆症と骨折のリスクに対する吸入ステロイド(ICS)の影響は不確かなままである。
目的:
この研究の目的は、COPD患者における当該リスクを評価することである。公的医療NHS(国営保険サービス)に紐づけれた電子医療記録データがCOPD患者から収集され、52のスウェーデンのプライマリケアセンターの参照コントロールと比較された。全骨折、骨粗鬆症関連骨折、骨粗鬆症診断、骨粗鬆症治療薬の処方、骨粗鬆症関連イベントの複合アウトカムに対するICSの影響をみた。 COPD患者はICS曝露のレベルによって層別化された。
結果:
COPD患者9651人とコントロール患者59454人の解析がおこなわれた。追跡中に、COPD患者の19.9%が少なくとも1つの骨粗鬆症関連イベントを発症し、これはコントロール患者12.9%よりも有意に多かった(p <0.0001)。多変量解析では、高用量ICSが骨粗鬆症関連のイベントと有意に関連していることが示された(リスク比1.52、95%信頼区間1.24-1.62)。低用量ICSの場合、ICSを使用していないCOPD患者と比較すると、リスク比は1.27となった(95%信頼区間1.13-1.56)。同様の用量依存性の副作用が、4つの特定の骨粗鬆症関連イベントすべてにみられた。
結論:
COPDの患者はICS使用により、骨折関連リスクが高くなる。高用量になれば、当該リスクはさらに増す。
by otowelt
| 2020-11-13 00:00
| 気管支喘息・COPD